国交省GISデータ「全公開」の衝撃、企業はどう活用すればいいのか?

AI要約

国交省が都市計画の共通フォーマットを公開し、事業者にビジネスチャンスを提供する取り組みが進められている。

GIS(地理情報システム)データの活用により、都市計画情報を効果的に整理・可視化し、都市開発に活用することが可能となる。

国交省は都市計画情報のデジタル化・オープン化を推進し、都市計画をより効果的に活用するためのガイダンスを策定した。

国交省GISデータ「全公開」の衝撃、企業はどう活用すればいいのか?

 街づくりのベースとして自治体が作成する都市計画。これまで街ごとにバラバラに作成していたこの都市計画を、共通のフォーマットで比較できるダウンロードサイトを国土交通省(国交省)が公開した。これは、事業者にとってさまざまなビジネスチャンスの発掘につながるだろう。では具体的に、GIS(Geographic Information System、地理情報システム)データは、どのように活用できるだろうか。

 都市計画とは、都市計画法に基づいて自治体が策定する街づくりのプランのことだ。土地利用(用途地域、地区計画など)や都市施設(道路、公園など)、市街地開発事業(土地区画整理など)に関する計画を総合的に定め、住民が住みやすく、働きやすい都市を目指す。

 街づくりは行政のトップダウンですべてがうまくいくような簡単なものではなく、実現には民間事業者の理解と協力が欠かせない。そこで、自治体が都市計画を対外公表することで、事業者側がそこにビジネス機会を見いだし、街ごとのエコシステムが形成されていくことが期待される。

 ただ、これまで都市計画のフォーマットは自治体によってバラツキがあり、事業者側にとって街ごとの特性や強みを比較しにくい状況があった。

 都市計画のデータ化は以前から少しずつ進められてきた。国交省はすでに2005年には「都市計画GIS導入ガイダンス」を策定。

 そもそも、GISとは、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にするシステム。たとえば、地図上の要素 (都市や河川、道路、建物など)を表すデータを識別したり、地理的な関係性を可視化したりするほか、空間データを分析することができる。

 ガイダンス策定を受け、各自治体で都市計画情報をGISデータに落とし込む地方自治体の動きが広がっていた。

 ただ、フォーマットはやはりバラバラで、オープンデータとして公開されるデータはごく一部にとどまる。情報を紙ベースで整備・活用している自治体も依然として多い。

 国交省はDXの一環で2023年に前述のガイダンスを抜本改定し、「都市計画情報のデジタル化・オープン化ガイダンス」を策定した。このガイダンスでは、(1)都市計画情報の基本となり、1/2500以上の縮尺でおおよそ5年ごとに作成される地形図「都市計画基本図」、(2)人口や産業、土地利用、交通などの現況を客観的・定量的なデータとして収集した「都市計画基礎調査情報」、(3)施設や市街地開発事業などの計画をまとめた「都市計画決定情報」──の3つに焦点を当て、デジタル化やオープンデータ化の進め方を示した。