ウクライナ軍 越境攻撃で1000平方キロメートルのロシア領土制圧と主張

AI要約

ウクライナ軍がロシア国内への越境攻撃で大規模な制圧を行い、ロシア側も激しい反撃を見せている。戦争が長引く要因は、ウクライナへの西側支援や電子戦の優位性にある。

原子力発電所を巡る攻撃は懸念されるが、暴走させれば大きな汚染が広がるため、戦争をより拡大させるリスクを避けるためか、致命的な損傷を与えることは避けられている。

ウクライナ侵攻はロシア側が軽視していたが、ウクライナの持久力と西側支援により泥沼化。原子力発電所への損傷を避ける配慮が重要な要素となっている。

ウクライナ軍 越境攻撃で1000平方キロメートルのロシア領土制圧と主張

政策アナリストの黒井文太郎が8月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に電話出演。越境攻撃の現状と長引く戦争の要因について解説した。

ウクライナ軍はロシア国内への越境攻撃で、およそ1000平方キロメートルのロシア領土を制圧したと主張し、ロシアのクルスク州では激しい攻防がつづいているとみられる。これは、東京23区の面積の1.5倍あまりにあたり、2022年2月にロシアの軍事侵略が始まって以降最大規模の越境攻撃となる。

飯田)8月6日から始まったウクライナ軍の越境攻撃、現状はどうなっていますか?

黒井)最初は情報が錯綜して、ウクライナ側の規模がわからなかったのですが、すでに奥のほうまで侵攻していて、大掛かりだということがわかります。

飯田)ロシアは反撃をしているのですか?

黒井)反撃はかなりしています。ドローンを使ったり、爆弾を数10キロメートル飛ばす滑空爆弾というものを多用しています。どちらかと言うと、ウクライナは地上部隊を使って侵攻をしているので、それを空から叩くという反撃の仕方をしています。陸上の部隊についても、最初の頃は徴兵された兵士が多かったのですが、そのあたりもどんどん補強をしています。

同番組に出演した政策アナリストの石川和男は、戦争が長引いた要因と原子力発電所をめぐる今後の戦況について言及した。

石川)戦争が始まって3年目に入りました。当初はロシア側が強大な軍事力で圧勝するのではないかと思われていましたが、ここまでくると、ほとんど泥沼化しているようにも見えます。かつて、旧ソ連がアフガンに侵攻したときの状況を私は思い出してしまうのですが、黒井さんの目から見た、ここまで長引いてしまった根本的な要因を教えてください。

黒井)最初は数日でウクライナが降参するだろうという目論見だったので、ロシア側としては軽く見ていたというのが大きいと思います。ただ、ここまでウクライナが持ちこたえているいちばん大きな要因は、やはり西側の支援、軍事支援です。情報面でも、いろいろな情報をアメリカがウクライナ側に教えています。また、今回のウクライナの越境攻撃も含めて、いまは電子戦が非常に重要です。ドローンを使ったり、ドローンを電子妨害したりといった電子戦が、ウクライナ側はロシア側を上回っているのだと思います。

石川)ウクライナはザポリージャやチェルノブイリなど、原子力発電所が多いです。そこへの攻撃をするのか、しないのか様々な情報が出ていますが、原子力発電所は一度事故が起きると過酷事故が起き、広範な影響が出ます。ウクライナ軍やロシア軍が原子力発電所に致命的な損傷を与えていないのは、どこかでそういった理性が働いているからと考えていいのでしょうか?

黒井)原子力を暴走させると広範な汚染が起きますので、起こしたほうに大義が立たないという面をいちばん警戒しているのだと思います。