エヌビディア最大の脅威が「お客さん」である理由 半導体業界の相関図から「王者」の死角を探る

AI要約

半導体業界はエヌビディアにとって大口顧客が最大の脅威であり、自前でチップを作り始める動きが活発化している。

クラウドベンダーは既に自社製チップを提供しており、エヌビディアへの依存度を下げる動きを見せている。

エヌビディアは自社生産ではなくファウンドリーに生産を委託しており、競合他社も同じ技術にアクセス可能である。

エヌビディア最大の脅威が「お客さん」である理由 半導体業界の相関図から「王者」の死角を探る

世界中から熱視線が注がれている半導体業界。台風の目は時価総額で一時世界一に立ったエヌビディアだ。ただ、その地位は決して安泰とは言い切れない。同社にとって最大の脅威とは何か。週刊東洋経済の「半導体 覇権」特集を担当した石阪友貴記者と、経済コラムニストでYouTuberの高井宏章氏の対談から一部をお送りする。

※記事の内容は東洋経済の解説動画「今や『エヌビディア包囲網』? 覇権争う半導体プレーヤーの現在地」から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。

 高井宏章(以下、高井):半導体業界の相関図を眺めてみると、大小さまざまなプレーヤーがひしめいています。今後エヌビディアにとって最大の脅威になりそうなのは誰でしょう? 

 石阪友貴(以下、石阪):やっぱり「お客さん」ですかね。グーグル、マイクロソフトなど、エヌビディアの商品を買い求めている大口顧客です。もちろん(AMD、インテルなどの)既存プレーヤーは目下直接の競合ではありますが、自分たちの商品を買ってくれている会社が自前で作り始めるというのは、かなりインパクトがありそうです。

 高井:その動きはかなり活発になってきているのでしょうか? 

 石阪:そうですね、大手のクラウドベンダーはすでに自分たちで作ったチップを出していますし、これからも出していく。すでに開発が進んでいるものはたくさんあります。

 彼らがどこまで自分たちのサーバーで利用するチップを自作のものに置き換えていくか、いまだ不透明ではありますが、少なくともエヌビディアへの依存度を下げようと動いていることは間違いないのかなと。

■「スイッチングコスト」が障壁に

 高井:ここで1つポイントになるのは、エヌビディア自体は「自分で生産しているわけではない」というところですね。台湾のTSMCなどファウンドリー(受託生産会社)に出している。つまり、エヌビディアのお客さんであるクラウドベンダーも、TSMCに「自分たちのチップを作って」とお願いすればいいということですね。

 石阪:はい。同じ技術にアクセスできる環境は整っている、ということです。TSMCはエヌビディアと関係の深い会社ではありますが、(別の)お客さんがいればもちろん仕事を受ける。お客さん差別をしないことで成長してきた会社でもあるので。