遠からず日経平均は再び「4万円」を超え、それが「底値になる」…!今回の急落が「株買い増し」千載一遇の好機といえるワケ

AI要約

日本の株価と円相場の関係について解説。1990年代前半のバブル崩壊と円高局面、2008年のリーマンショック前後の円急騰と株価急落状況を詳しく説明。

1990年代前半の円高局面は、国内資産バブル崩壊と海外投資家の円買い・外貨売りによる需給変化が影響。

2008年の円急騰は、円売りキャリートレードや高金利通貨投資の影響で引き起こされた。リスクオンの円安、リスクオフの円高のパターンが形成された。

遠からず日経平均は再び「4万円」を超え、それが「底値になる」…!今回の急落が「株買い増し」千載一遇の好機といえるワケ

日本株の下落を伴う最大の円高局面は、1990年代前半のバブル崩壊過程だ。株価がバブル崩壊的な下落を辿る状況下、円相場は1990年4月の160円台から95年4月の80円前後まで円高・ドル安の一途となった。国内資産価格のバブル崩壊と自国通貨高が同時進行した日本のような国は極めて稀だ。(これまでの円の騰落局面の分析は「慌てるな、こんな円急騰はこれまでにも何度もあった!円安は時間をかけて進み、円高は一気に進む…その構造がわかれば先は読める!」を参照)

ただしこれは謎ではない。図1を見て頂きたい。これは外為市場における外貨(ドル)の需要と供給の概念図である。当時の貿易収支黒字が主体の経常収支の黒字は、輸出企業の外貨売りが輸入企業の外貨買いを上回るので、外貨の供給曲線を構成する。外貨の供給曲線は商品一般のそれ同様に右肩上がりだ。

一方、国内投資家の海外投資は、その資金が円売り・外貨買いで行われる限り、外貨の需要曲線を構成し、商品一般と同様に右肩下がりである。

90年代前半の日本では、それまで海外の債券や株式、不動産などへ積極的な投資を行っていた日本の機関投資家層が、国内の資産バブル崩壊でリスク許容度を低下させ、海外投資を減らし、さらには海外ポートフォリオの売却・回収を進めた。その結果、外為市場の外貨需要曲線が大きく左にシフトする一方、貿易収支は大きな黒字で、為替需給の均衡点が円高・ドル安にシフト(E→E‘)したのだと考えられる。

もちろん海外投資家がバブル崩壊の日本から資金を引き揚げる場合は、円売り・外貨買いが起こるので、その場合にはこの日本の投資家の円買い・外貨売りを相殺する。しかしバブル期の日本では株価も不動産も途方もなく割高だったので、海外投資家の日本ポートフォリオは相対的に小さく、国内投資家の海外撤退・回収のフローの大きさが優ったのだろう。

次に2000年代の大きな円急騰と株価急落のセット現象は、2008年のリーマンショック前後の局面だ。当時円高が進む理由をTVニュースの市況解説などは「相対的に安全資産と思われている円が買われています」と語っていたが、全く的外れな解説だ。既述の通り、2005年頃から07年前半まで内外金利格差に誘引されて莫大に累積した円売りキャリートレードや高金利通貨に投資する日本の投資信託の損切り(円買い・外貨売り)が続いた結果に過ぎない。

こうした株価と円相場の特徴が何度か繰り返された結果、「リスクオンの円安、リスクオフの円高」という投資家の行動パターンが自己強化的に生じて来たと考えられる。リスクオンというのは投資家が楽観的で強気になっている状態だ。リスクオフはその逆でリスク回避的な行動が市場を支配している状態である。