今の40歳や50歳がもらえる年金額が試算された。男女別にいくら?【財政検証からわかること】

AI要約

2024年7月に厚生労働省より財政検証結果の概要が公表されました。年金制度の健康診断で、今後の年金額について解説します。

公的年金制度は人口や経済状況に合わせて調整され、財政検証では所得代替率が61.2%という結果となりました。

今後の財政検証において所得代替率が50%以下となる場合、給付や負担についての措置が検討されることになります。

今の40歳や50歳がもらえる年金額が試算された。男女別にいくら?【財政検証からわかること】

2024年7月に厚生労働省より、5年に1度の「令和6 <2024> 年財政検証結果の概要」が公表されました。

財政検証とは、国民年金や厚生年金がこの先100年にわたって維持できるかどうかを5年に1回チェックする、年金制度の「定期健康診断」のようなものです。

とくに、今40歳~50歳の人々にとって、老後収入の基盤となる年金制度がこの先も順調かどうかは大きな関心ごとといえます。

今回は、最新の財政検証から得られる情報を基に、今の40歳や50歳が将来受け取る年金額について解説します。

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

日本の公的年金制度には、少子高齢化に伴う公的年金加入者の減少や平均寿命の延びなど、社会の人口・経済全体の状況を考慮して、給付と負担のバランスを自動的に調整するしくみがあります。

このしくみのもとになるのが「2004(平成16)年の年金制度改正における年金財政のフレームワーク」で、以下のとおりです。

 ・上限を固定した上での保険料の引上げ

 ・負担の範囲内で給付水準を自動調整する「マクロ経済スライド」の導入

 ・積立金の活用

 ・基礎年金国庫負担の2分の1への引上げ

これらの項目のバランスがとれているかどうか確認するため、少なくとも5年ごとに、直近の人口や経済の状況を反映した、長期にわたる財政収支の見通しを作成しています。

これを「財政検証」といいます。

財政検証では、主に夫のみが働き、妻が専業主婦である片働きの夫婦世帯を想定しており、現役男性の平均手取り収入額に対する年金の比率である「所得代替率」で検証すると「61.2%」という結果となっています。

その際のもとになる条件と計算式は以下のとおりです。

 ・所得代替率の計算式: (夫婦2人の基礎年金+夫の厚生年金)/現役男子の平均手取り収入額

 ・夫婦2人の基礎年金:13万4000円

 ・夫の厚生年金:9万2000円

 ・現役男子の平均手取り収入額:37万円

2024年度時点の所得代替率は61.2%。

しかし、次の財政検証までにこの所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、「マクロ経済スライドの終了その他の措置を講ずるとともに、給付及び負担の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずる」とされています。