10代金メダリストや大谷翔平の活躍は偶然ではない…日本で"異次元の才能"を持つ若者が増えているワケ

AI要約

スケートボードの新たな“お家芸”として日本のジュニアアスリートが五輪で活躍する姿が珍しくなくなった背景を探る。

小柄さと柔軟性が技術向上に繋がるスケートボードは、体格や年齢を問わず、小学生でも五輪を狙える環境が整っている。

14歳の吉沢恋が金メダルを獲得し、13歳の西矢椛に続く日本勢2連覇を達成したスケートボード界の若きスター達の活躍。

■スケートボードは日本の新たな“お家芸”に

 今から32年前の1992年。バルセロナ五輪競泳女子200メートル平泳ぎで優勝した岩崎恭子は、14歳6日で日本史上最年少の五輪金メダリストとなった。中学2年で世界の頂点に立ったニューヒロインが、直後のインタビューで発した「今まで生きてきた中で、一番幸せです」の名言は、この年の流行語大賞にも選ばれるなど、社会現象を巻き起こした。

 当時、ジュニアアスリートが五輪で活躍する姿は珍しかったが、今では当たり前の光景となっている。中でも、スケートボード勢の躍進が著しい。

 2021年東京五輪から追加種目として採用され、13歳330日の西矢椛(もみじ)が女子ストリートで金メダルを獲得し、岩崎の記録を更新。また、12歳11カ月で日本最年少五輪メダリストになった開(ひらき)心那(ここな)は、15歳で臨んだ今回のパリ五輪女子パークで2大会連続の銀に輝き、再び表彰台に立った。

■小学生でも五輪を狙える環境が整っている

 西矢が代表落選した女子ストリートでは新生が現れた。14歳の吉沢恋(ここ)が金、15歳の赤間凜音(りず)が銀とワンツー・フィニッシュの快挙を成し遂げた。経験がものをいうスポーツは数多くあるが、スケートボードは、体格や身長差、筋力がアドバンテージになるとはいえず、むしろ低年齢特有の小柄さと柔軟性が技術向上に直結することが多い。出場選手の年齢下限もないため、小学生でも五輪を狙える環境が整っている。

 吉沢は、西矢が東京五輪で見せた大技「ビッグスピン・フロントサイド・ボードスライド」を、当時小5にして習得しており、テレビ観戦しながら「私にもできるんじゃないか」と思い立ったという。

 それまでスケートボードが五輪競技に採用されたことすらも知らず、あくまで習い事の域を出なかったが、自分の現在地を知るために大会へと出場。パリ五輪では、その大技をさらに進化させた「ビッグスピンフリップ・ボードスライド」を成功させ、西矢に続く日本勢2連覇を達成した。西矢の「13歳、真夏の大冒険」に続く「金メダルに恋した14歳」の名実況は、日本五輪史に深く刻み込まれていくだろう。