【10年ひと昔の新車】トヨタ エスティマハイブリッドはマイナーチェンジで何が変わったのか

AI要約

2011年の東日本大震災で活躍したエスティマハイブリッドの特徴や性能を紹介。停電時の電源供給や室内空間の評価などが記されている。

車重やハイブリッドシステムの構成、マイナーチェンジでの仕様変更について詳しく解説。走行や乗り心地などのレビューも含まれている。

エスティマハイブリッドの魅力や進化を再確認。長年にわたる改良と持続性の高さが伝えられている。

【10年ひと昔の新車】トヨタ エスティマハイブリッドはマイナーチェンジで何が変わったのか

「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トヨタ エスティマハイブリッドだ。

2011年の東日本大震災で、いざという時に役立つクルマとして注目を浴びた1台が、このエスティマハイブリッドだ。実際に停電した場所での照明や携帯電話への充電、湯沸かしなどの電源として大活躍。現行の国産車で唯一、自家発電が可能な存在として、その有り難みを感じた被災者の方も多かったと思われる。

実際、購入時に決め手となったのが、100Vでで最大1500Wの電源供給能力という人は多い。アウトドアで炊飯器や電子レンジなどが気軽に使えるメリットは、予想以上と評判も高い。現行3代目のエスティマは2006年デビューなので、既に6年を経過。ハイブリッドシステムはTHS-IIで、2.4Lの2AZ-FXエンジンと前後2基のモーターというパワーユニットで構成されている。

この仕組みは現行アルファード/ヴェルファイアのハイブリッドも同様。また、数値上のスペックはデビュー当時と一緒でも、実際には長年にわたって改良が重ねられてきた熟成のメカニズムと言っていい。エンジンはいずれカムリの2.5Lの2AR-FXE型に世代交代するだろうが、それは次のフルモデルチェンジの際だろう。

2012年5月のマイナーチェンジでは、エアロを装備するスポーティグレードの「アエラス」を初めてハイブリッドにも設定したことが最大のニュースだ。逆に標準ボディの方では上級グレードのGが従来のレザーパッケージに準じる内容になり、ファブリック仕様はXまたはアエラスのみとなった。要は上級グレードはレザー仕様しか用意されなくなり、選択の自由度が少し狭くなったのは残念だ。

試乗車は新たに追加されたアエラスのレザーパッケージ。オプション満載で、車検証には車重2050kgと記載されていた。今回は3名乗車で、東名高速の御殿場IC周辺での試乗。街中から郊外、そして高速道路まで、従来型との違いを感じるところもほとんどなく、走らせてのストレスはまずなかった。

じつはガソリン車のアエラスはタイヤが18インチ(225/50)にサイズアップされるのだが、ハイブリッド車のアエラスは標準ボディと同じ17インチ(215/60)のまま据え置かれた。もちろん見た目を重視すれば大口径の18インチなのだろうが、ここを17インチのままでキープしたことは正解だ。

今回の試乗では、運転を代わってもらって2列目や3列目にも乗車してみた。後方へいくにしたがって座面が高くなり、良好な視界が保たれていることには改めて感心。その一方で乗り心地面では、後方に移動するほど、少しずつだが損なわれていくことも実感した。

とくに今回の試乗車はレザーパッケージだったが、ファブリックのシートに比べて舗装の継ぎ目のショックが大きい印象は否めなかった。トヨタのハイブリッド車の場合、シートの素材の違いは重要なチェックポイントだと思ったほうがいいだろう。

とはいえ、結論を言えば、走りっぷりは従来型と変わらない。約2トンという車両重量を感じさせないほど軽快に走ってくれる。デビューから6年が経過してはいるが、その魅力は色あせない。エスティマハイブリッド、マイナーチェンジでその魅力をさらに増したようだ。