北陸新幹線・大阪延伸で「交野市」の地下水がピンチ? トンネル工事で守れるか市民の水源、市から「鉄道・運輸機構は耳を傾けて」の悲痛声

AI要約

大阪府交野市は北陸新幹線の大阪延伸により地下水枯渇の懸念から、地下水調査を要請。

地下水は市内の主要水源であり、地下40mから取水される井戸が17本稼働している。

交野市の新幹線ルートが決定される中、市長や市民から地下水への影響懸念が高まっている。

北陸新幹線・大阪延伸で「交野市」の地下水がピンチ? トンネル工事で守れるか市民の水源、市から「鉄道・運輸機構は耳を傾けて」の悲痛声

 北陸新幹線の大阪延伸で、大阪府交野(かたの)市が工事にあたる鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対し、地下水調査を要請した。水道水の8割を占める地下水が枯れる心配があるためだ。碁盤の目のように区画整理された住宅街のなか、子どもたちが遊ぶ公園がある。交野市の天野が原地区にある天野が原西公園は、どこにでもある公園なのだが、片隅にフェンスで囲まれた小屋が建てられている。小屋は深さ約300mから地下水をくみ上げる井戸だ。

 井戸水は私市(きさいち)地区の星の里浄水場へ送られ、浄水されて水道水になる。交野市は大阪広域水道事業団から淀川の水を購入しているが、水道水の8割が地下水。天野が原西公園にあるような井戸は、市内で17本稼働している。

 府北東部に位置する交野市に市民約7万7000人の水源となる川はない。その代わりに地下40mより深い場所に豊富な帯水層が存在する。この地下水は国際評価機関の「モンドセレクション2019」で「最高金賞」を受けた水だが、北陸新幹線の大阪延伸で危機に立たされようとしている。交野市の地下を

「北陸新幹線が通過する」

と想定されているからだ。

 北陸新幹線の大阪延伸は福井県敦賀市の敦賀駅から日本海沿いに福井県小浜市へ進み、そこから南下して京都府へ入る小浜・京都ルートに決まっている。京都府で京都市の京都駅、京田辺市の松井山手駅付近を通ったあと、大阪府内を進んで大阪市の新大阪駅へ向かう。

 鉄道・運輸機構が2019年に公表した環境影響評価方法書では、4km幅で設定された大まかな大阪府内のルートに交野市の大部分が入った。交野市付近ではおおむね

「深さ40m以上」

の大深度地下にトンネルが整備されるとなっている。

 交野市の山本景市長は新幹線工事が地下水に影響を与える恐れがあるとして、7月に市議会全員協議会で報告するとともに、大阪市淀川区の鉄道・運輸機構事務所を訪れ、地下水への影響調査を求める嘆願書を提出した。

 天野が原西公園で話を聞いた近所の主婦(62歳)は

「地下水に影響が出たら、市民は生活できない。新幹線を通したいのなら、影響を未然に防げるよう万全の措置を取るべきだ」

と不安をぶつけた。