「東京のとなり」にある街に「リニアバブル」が到来…タワマン建設で起こる不動産市況「劇的な変化」

AI要約

リニア中央新幹線が相模原市に駅を設けることで、住宅市場に大きな影響が期待されている。

JR北陸新幹線が福井県に新駅を設けたことで、マンション市場が活況を呈しており、福井県のマンション価格が急上昇している。

リニア中央新幹線の建設が進めば、さらなるマンション市場の活況が期待されている。

「東京のとなり」にある街に「リニアバブル」が到来…タワマン建設で起こる不動産市況「劇的な変化」

東京から名古屋まで40分、大阪まで1時間で結び、東名阪を一大都市圏化するリニア中央新幹線。2027年の開業予定は絶望的だが、完成すれば社会・経済的なインパクトは既存の新幹線とは比較にならないくらい大きいのは間違いない。そんななか、注目されているのが神奈川県相模原市の橋本エリア。首都圏では始発の品川駅以外に唯一の駅となる「神奈川県駅(仮称)」が予定されているからだ。しかも、29階建てのタワマンも建設されている。果たしてリニアで資産価値の向上が期待できるのか――。

住宅市場に影響を与える条件は様々だが、中でも最も大きなインパクトを与えるもののひとつが、鉄道の新線・新駅の誕生だ。

最近では、2024年3月にJR北陸新幹線が石川県の金沢駅から福井県の敦賀駅まで延伸・開業し、福井駅、敦賀駅などの新駅・6駅が誕生した。折から、コロナ禍が終息、インバウンド需要が回復したこともあり、内外から観光客が押し寄せ、福井県への注目度が高まった。

観光目的だけではなく、これを機に福井県に移住したり、マンション投資を考える人が増えたりした結果、福井県のマンション市場が活況を呈している。マンション情報の「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドでは、全国のマンション価格と、騰落率をランキング化しているが、その24年3月のデータによると、図表1にあるように、福井県が10年前との騰落率が141.1%と、全国都道府県のなかでトップとなった。

図表1 10年前との騰落率が高い都道府県

そこで気になるのがリニア中央新幹線だろう。リニア中央新幹線は、これまでの新幹線とは桁違いのインパクトを与えるだけに、実際に開業すれば、福井県以上に大きな影響ができることも期待できる。

リニア中央新幹線は、東京の品川と名古屋を40分、大阪までを1時間で結ぶ。品川と名古屋間には、神奈川県駅、山梨県駅、長野県駅、岐阜県駅(いずれも仮称)が設けられ、首都圏では神奈川県駅が唯一の途中駅となる。相模原市の橋本に設置される計画で、すでに駅舎の工事はかなり進んでいる。

開業すれば、名古屋も各駅停車で1時間だから、出張や観光などの利便性も大きく向上する。何よりも嬉しいのはリニアの各駅停車で品川まで10分だから、東京駅、新宿駅なども30分圏内に入ることだ。これまでは、京王相模原線などを使って1時間半程度かかっていたのだから、劇的な変化と言ってもいい。

リニア中央新幹線の建設に当たっては静岡県が反対していたこともあって、27年の開業予定がずれこむことはほぼ確実だが、反対していた川勝平太知事も退任したことで、今後は建設が進む期待が高まってきた。当初予定の27年度開業は不可能にしても、10年程度の間にはある程度目処が立つのではないだろうか。

●リニア中央新幹線のルートと駅所在地

そもそも相模原市はどんな街なのか。人口約72万人で、2010年に19番目の政令指定都市に指定されている。緑区、中央区、南区の3区から成り、小田急小田原線の「相模大野」駅、京王相模原線の「橋本」駅に商業施設などの集積が進み、駅周辺には超高層マンションも立ち並んでいる。

東京のベッドタウンとしての色彩が強く、そもそも橋本エリアは東京都町田市に隣接する。「東京のとなり」にあって、市民の25%近くが東京都へ通勤・通学するいわゆる「神奈川都民」の街と言える。