65歳以降「年金暮らしの平均的なリタイヤ夫婦」毎月赤字が4万円くらい出るって本当ですか?
2024年7月3日に、厚生労働省が年金制度の財政検証結果を発表。その中で「在職老齢年金制度を撤廃した場合」の想定条件があり、働き方の多様化に対応が必要と示唆。
総務省の最新資料から、65歳以上の無職夫婦世帯の貯蓄額について、2018年から2023年までの推移を確認。貯蓄額は緩やかに増加し、老後2000万円問題をきっかけに資産形成を始める世帯も。
同資料から、65歳以上の無職夫婦世帯の保有資産の内訳を見て、有価証券や預貯金の比率がどのように変化しているか分析。
2024年7月3日に、厚生労働省は「財政検証」の結果を発表しました。「財政検証」とは、5年に1度の年金制度の健康診断のようなもの。そこで年金財政の問題点などを洗い出し、改革に繋げていく大切な作業です。
その中で「在職老齢年金制度を撤廃した場合」という想定条件がありました。
働き方の多様化が進み、定年退職後の65歳以降も、年金を受給しながら働き続ける方が増えてきましたね。
しかし「在職老齢年金制度」では、賃金と年金の合計が月額50万円を超えると年金が減額になってしまうため、就業時間を調整しているシニア世代もいるでしょう。
現在、一般的な年金受給開始年齢は65歳。本記事では、2024年5月17日に公表された総務省の最新資料より、65歳以上の「無職世帯」と「勤労世帯」の貯蓄事情、年金生活者の収支バランスについて確認していきます。
現役世代のみなさんは、ご自身の理想の老後生活をイメージしながら読み進めてみてください。
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総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」から、65歳以上の無職夫婦世帯の貯蓄額について見ていきます。
2023年の平均貯蓄額は2504万円。2018年からの推移は以下の通りです。
●【65歳以降のリタイヤ組】夫婦世帯の平均貯蓄額の推移
・2018年:2233万円
・2019年:2218万円
・2020年:2292万円
・2021年:2342万円
・2022年:2359万円
・2023年:2504万円
65歳以上の2018年から貯蓄額はゆるやかに増えてきており、2023年には過去最高額となりました。
ちなみに、2019年は金融庁レポートに端を発した「老後2000万円問題」が話題となった年。これをきっかけに本格的な資産形成を始めた世帯もいるでしょう。
NISAやiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度の拡充が図られるいま、65歳以上の無職夫婦世帯の貯蓄は、どのような内訳になっているのでしょうか。同資料から見ていきます。
●【65歳以降のリタイヤ組】夫婦世帯の保有資産の内訳(2023年)
合計:2504万円
・有価証券:480万円
・生命保険など:413万円
・定期性預貯金:846万円
・通貨性預貯金:754万円
・金融機関外:11万円
65歳以上・無職夫婦世帯の貯蓄のうち、有価証券は480万円。全体の19.2%を締めており、前年比は+80万円(+2.2pt)。通貨性預貯金は754万円で、前年比+55万円(+0.5pt)増加しています。
一方で定期性預貯金は846万円で全体の33.8%を占めていますが、前年比▲19万円(▲2.9pt)と減少。この背景の一つとして、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用した資産運用に注目する人が増えていることも推測されるでしょう。
ここまでは「65歳以上・無職夫婦世帯」の貯蓄額について見ていきました。次では、同世代の「勤労世帯も含む」貯蓄額データを眺めていきます。