これまで以上に「熱い」コンパクト 小改良版 アウディS3へ試乗 333psと新リアデフ獲得!

AI要約

アウディS3は、高性能モデルとしての地位を確立してきたが、価格上昇により従来のお手頃さは薄れている。

フェイスリフトを受けた最新のS3は、トルクベクタリング機能やエンジンのパワーアップなど新技術を充実させている。

スタイリングや内装も一新され、スポーティな要素を強調しつつも、運転支援システムのアップデートなど快適性も重視している。

これまで以上に「熱い」コンパクト 小改良版 アウディS3へ試乗 333psと新リアデフ獲得!

世代を重ねる毎に、アウディS3は高性能モデルとしての地位を確かなものにしてきた。現行の4代目は、2020年に登場ている。ただし、当初の英国価格は4万ポンドを切っていたが、現在は5万ポンド(約1020万円)に迫ろうとしている。

実に、15%以上もの値上がり。内燃エンジンを積んだ高性能モデルの販売数を減らしつつ、充分な収益を得るためだろう。もはや、お手頃な高性能コンパクトとは呼べなくなってしまった。

それでもフェイスリフトを受け、S3は新しい技術を獲得。上昇した価格を正当化しようという努力は、投じられている。

その中で注目に値するのが、トルクベクタリング機能付きのリアデフ。フォルクスワーゲン・ゴルフRから採用が始まり、アウディRS3へ展開されたもので、最新のS3も標準装備するようになった。

他にも今回のフェイスリフトでは、フロントのサスペンション・ウイッシュボーンと、ハブベアリングを強化。サスペンションの特性自体も改められ、ブレーキも改良された。

トップグレードのフォアシュプルングでは、ローダウン・スプリングと、改良を受けたアダプティブダンパーを装備する。ただし、今回の試乗車は通常のダンパーが組まれた、ブラックエディションだったが。

2.0L 4気筒エンジンにも手が加えられ、僅かにパワーアップ。333psと42.7kg-mを発揮するに至った。軽量・高価なチタン製スポーツマフラーも、最初から組まれている。

スタイリングも、同時にリフレッシュ。フロントグリルやエアインテークはサイズアップし、リアには深いディフューザー処理が与えられている。パイソン・イエロー塗装で仕上げられたS3 サルーンの存在感は、かなりのものといえるだろう。

細かい部分も見ていくと、Bピラー部分にモデル名が記されるようになり、デイライトのデザインも一新。点灯パターンは、RS3と同様にカスタマイズ可能だ。細部の磨き込みでクルマ全体の魅力を引き上げる手法は、いかにもアウディらしい。

車内は、ダッシュボードやセンターコンソールのデザインを変更。エアコンの送風口にはクロームメッキが施され、大きなタッチモニターも改良を受けた。ただしシフトレバーは備わらず、しっかり手で握って操りたいスポーツ・サルーンとして、少し寂しい。

欧州の安全基準に合わせて、運転支援システムもアップデートされている。必要なければ、実際に押せるハードボタンで簡単にオフにできる配慮が好ましい。

フロントシートは大柄でスポーティ。身体をしっかり保持してくれ、調整域が広く、快適な運転姿勢に落ち着きやすい。

後席側は、このクラスとしては狭め。とはいえ平均的な大人なら座ることはでき、高性能ぶりとスタイリッシュなフォルムを考えれば、許せる範囲といえるだろう。