個性際立ちきらりと光る 空の安全を守る3つの関空タワー群 関空探訪 開港30年

AI要約

関西国際空港にある気象観測施設であるサッカーボール形の球体について紹介されている。

球体内に収められているのは「空港気象ドップラーレーダー」であり、風向きや風速の変化を観測し、飛行機の安全に貢献している。

同様のレーダーは国内に9カ所設置されており、関空の外観デザインも実用性を持っていることが伝えられている。

個性際立ちきらりと光る 空の安全を守る3つの関空タワー群 関空探訪 開港30年

大阪・泉州沖の関西国際空港。総面積千ヘクタール超の人工島には、ひときわ目を引く「塔」がたち並んでいる。巨大な「サッカーボール」を載せた塔、パラボラアンテナを常時回転させている赤白の塔、そして航空管制塔-。いずれも外観は目立っているが、その役割はあまり知られていない設備もある。車で関空島を訪れ、島内を彩る「塔」を巡ってみた。

■サッカーボール

連絡橋を渡り関空島に入る。料金所を抜けると、高さ約40メートルの塔の頂上に据え付けられた白い球体(直径約11メートル)が見えてくる。よく見ると、球面は五角形や六角形で構成されており、まさにサッカーボールだ。

一体、何の施設なのだろう。「気象観測をしています。球体は、中にあるパラボラアンテナを風雨などから守る『覆い』の役割をしています」。こう説明するのは、関西航空地方気象台の菅谷重平主任技術専門官。球体内に収められているのは「空港気象ドップラーレーダー」だ。

関空開港翌年の平成7年に気象庁が設置した国内初のレーダーシステム。気象予報ではなく、航空安全のための観測に特化して運用されている。28年に2代目に更新された。

主な観測対象は、空港周辺の低空で発生する強い下降気流や風向き・風速の急速な変化。「空港周辺での風の変化は、飛行機から揚力を奪い、大事故につながりかねない」(菅谷さん)ためだ。

ドップラーレーダーは降水域を観測するとともに、大気中の降水粒子(雨粒など)に反射して戻ってきた電波を利用して風の状態を把握。水平、垂直の2つの電波を同時に発射するなどして精度を高めた。半径約100キロ圏の風の動きを観測しており、データは管制塔や航空会社に提供。データをもとに離着陸時間をずらすなど活用されている。

球体の内部では、直径7メートルのアンテナが轟音(ごうおん)をあげて回転していた。現在、同様のレーダーは国内9カ所に設置されている。

それにしてもやはり気になるのは、アンテナを覆うサッカーボール形の球体デザイン。関空関係者にもサッカーボールとの愛称で親しまれているこの外観も、観測に役立っているのか。