H3ロケットで打ち上げた「だいち4号」、初観測画像公開

AI要約

JAXAは、H3ロケットにより打ち上げた先進レーダ衛星「だいち4号」において、初めての観測画像を公開した。

「だいち4号」は人工衛星搭載の合成開口レーダを使用し、高い空間分解能を維持しつつ観測範囲を拡大したことが特徴。

撮影した画像は2偏波のデータから合成され、地表の状況判別に役立つ。

H3ロケットで打ち上げた「だいち4号」、初観測画像公開

JAXAは、7月1日にH3ロケットにより打ち上げた先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)において、初めての観測画像を公開した。「だいち4号」は現在、初期機能確認運用を実施しており、今回の画像は同衛星に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-3)により、7月15日から17日に撮影されたもの。

「だいち4号」は、人工衛星搭載の合成開口レーダとして世界で初めての実証となるデジタルビームフォーミング技術を使い、前号機「だいち2号」の高い空間分解能を維持しつつ観測範囲を最大4倍に拡大したレーダ衛星。「だいち2号」とともに、災害発生時の状況把握や、森林分布の把握等の環境観測、海氷等の海洋観測などへの貢献が期待される。

「だいち4号」は地球観測衛星として世界最高性能(2024年7月現在)の3.6Gbps(1.8Gbps×2系統)の高速データ伝送が可能で、これにより発生データ量が大きな高分解能(3m)の観測でも、HH偏波(水平偏波送信・水平偏波受信)およびHV偏波(水平偏波送信・垂直偏波受信)による2偏波観測が常時可能になった。

撮影した画像は、この2偏波のデータから合成した疑似的なカラー画像で、緑色が植生、明るい紫色や黄緑色が市街地、暗い紫や黒は裸地や水面などを表す。偏波情報により地表の状況の判別が容易になることで、災害状況の把握や森林伐採の監視などへの活用が期待される。

ALOS-4プロジェクトチームは今後、三菱電機をはじめ衛星運用に携わる企業、機関等とともに引き続き3カ月間の初期機能確認運用を行ない、「だいち4号」とPALSAR-3が所定の機能を有することを確認した後、観測データの初期校正検証運用に移行する予定。