ライドシェア、ニーズに合わせ徐々に緩和 イベント・酷暑に拡大 移動の足不足解消なるか

AI要約

国土交通省は、一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ日本版ライドシェアの運用を改善する方針を発表しました。運行可能な時間帯を広げたり、車両の供給台数を増やしたりすることを認めるなど、使い勝手の良い制度に見直すことが目指されています。

暑中見舞いや花火大会などのイベント開催時には運行可能時間帯が拡大され、一時的に車両の供給数を増やすことも可能になります。対象地域は東京や名古屋、福岡などの大都市部で、現在は雨天時に同様の措置がとられています。

国交省は、タクシー事業者が運行管理する日本版ライドシェアを4月から導入しており、今後はバスや鉄道事業者が参入しやすい仕組みや価格変動制の導入も検討されています。一方、全面解禁については議論が続いており、移動手段の確保を目指す取り組みが進められています。

ライドシェア、ニーズに合わせ徐々に緩和 イベント・酷暑に拡大 移動の足不足解消なるか

国土交通省は2日、一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「日本版ライドシェア」の運用を改善すると発表した。酷暑が予想される時間帯や花火大会などのイベント開催時は通常より利用ニーズが高まるため、運行可能な時間帯を広げたり、車両の供給台数を増やしたりするのを認める。現行制度は制約が多く、移動の足不足の解消には不十分との指摘があることから、使い勝手の良い制度に見直す。

記録的な暑さを受けて新たに運行可能とするのは、天気予報で気温35度以上が予想された時間帯と前後1時間。もともと認められている時間帯と重なる場合は、車両数の上限を引き上げる。対象は東京や名古屋、福岡など大都市部の12地域。この地域は7月から、雨天時に同様の運用が始まっている。

また、花火などのイベント時は主催者や自治体から要請があれば、利用が一時的に増えると見込まれる時間帯に車両の供給数を増やすことを認める。日本版ライドシェアを導入する全地域が対象になる。

日本版ライドシェアは、タクシー事業者が運行管理することなどを要件に4月に始まった。運行できるのはタクシーが足りない時間帯に限られ、車両数は上限が決められている。全国でタクシーやバスの運転手不足が問題となる中、自治体が運営する「公共ライドシェア」と合わせ、移動手段の確保が難しい「交通空白」地域の解消を狙う。

だが、国交省の調査では全国の3割にあたる600以上の自治体でライドシェアの導入に向けた動きが遅れている。7月には斉藤鉄夫国交相をトップとする対策本部が設置され、日本型ライドシェアを段階的に拡充する方針が打ち出された。12月頃にはバスや鉄道事業者が参入しやすい仕組みや価格変動制の導入などを取りまとめる。

もっとも、移動の足不足の抜本的な解決には配車アプリ業者などタクシー事業者以外にも参入を認める全面解禁をすべきだとの声が上がる。政府はタクシー事業者への影響が大きいことを配慮し、5月に全面解禁の先送りを決めたが、7月から規制改革会議で制度改善に向けた議論が再開している。(織田淳嗣)