ホンダ、日産連携の「本丸」はSDV トヨタ系との2大陣営で国内自動車産業を底上げへ

AI要約

ホンダと日産自動車が電動化に関する広範な戦略提携を結び、次世代車の領域での競争力向上を目指す

車をソフトウエアで制御する「SDV」が重要で、ソフトの更新や新しいサービス提供が可能に

競争激化の中、開発には膨大な費用がかかるが、日本の自動車産業の未来に大きな影響を与える

ホンダ、日産連携の「本丸」はSDV トヨタ系との2大陣営で国内自動車産業を底上げへ

ホンダと日産自動車が1日に合意した電気自動車(EV)を中心とする電動化に関する広範な戦略提携で、最も重要になるのは車をソフトウエアで制御する「SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)」と呼ばれる次世代車の領域だ。 EV大手の米テスラや中国の比亜迪(BYD)はこの領域の取り組みで先行しており、ホンダと日産が「今までのやり方では世界をとらえることはできない」(ホンダの三部敏宏社長)と、連帯に踏み切った大きな理由もここにある。

■ソフト更新で機能を追加

SDVでは従来の機械系部品に替わって、車載基本ソフト(OS)や人工知能(AI)などのITが開発の基盤となり、車づくりが根本的に変わる。ソフトの更新による機能の修正・追加が可能なほか、スマートフォンのように新たなアプリの導入で車の乗員にさまざまなサービスも提供できる。ネットワークで収集したデータや車載電池の電力を利用するなどのサービス事業がメーカーの収益構造まで変えていくと見込まれている。

EVなどの電動車と親和性が高いSDVは、脱炭素化の進展に伴い将来の国内自動車産業の競争力を左右するとみられ、政府も5月、2030年に日本勢で世界販売シェア3割を目指す戦略案を打ち出していた。

■「基盤技術」投入に時間

ただ、車載OSなどSDVのソフト開発には「4けた億円」(三部氏)の巨費が必要で、「競争力を高めるには仲間が必要」(日産自動車の内田誠社長)だった。

トヨタ自動車は既に独自開発中の車載OS「アリーン」や電池、ハイブリッド技術などの電動化分野で、資本提携先のマツダやSUBARUなどとの連携を進めていたが、そのトヨタ陣営に対抗する企業連帯ができたことで、国内2大勢力の切磋琢磨が「日の丸SDV」の競争力を高める構図が整った形だ。

もっとも、「30年の手前には出したい」(三部氏)と、ホンダと日産が連帯する次世代車載OSなどのSDVの基盤技術の投入までにはまだ時間がかかる。それぞれ自社技術に自信を持つ両社の開発者がどこまで連携の相乗効果を発揮できるかは見通せない。両社が合意した内容も基礎的な共同研究で、量産開発はその成果次第と慎重だ。

■販売力の早期強化が先決