ANA中堀CFO「ボーイングは慎重にやっている」品質問題、当面静観

AI要約

ANAホールディングスは品質問題によるボーイング機の受領遅延について、事業計画に影響はないとの見方を示した。

ボーイングは737 MAXと787の生産レートを回復するため安全性や品質向上に注力し、777Xの型式証明取得に向けた飛行試験を行っている。

ANAHDは新型機の導入計画を進めつつ、2024年4-6月期の決算は売上高が増加し、営業利益は前年同期を上回った。

ANA中堀CFO「ボーイングは慎重にやっている」品質問題、当面静観

 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の中堀公博常務は7月30日、品質問題により納入遅延が生じているボーイング機の受領について、現時点でANAグループの事業計画に影響は及ぼさないとの見方を示した。

 ANAは、ボーイング787型機のローンチカスタマーで現在も受領を続けているほか、開発中の大型機777Xや小型機737 MAXを発注済み。777Xと737 MAXは、ともに2025年度から受領を開始する見通し。

 7月にロンドンで会見したボーイングのステファニー・ポープ民間航空機部門社長兼CEO(最高経営責任者)は、品質問題が起きている737 MAXと787の生産レートを年内に戻すことを明らかにし、安全性や品質の向上に注力していることを強調した。また、777XはFAA(米国連邦航空局)からの型式証明取得に向けた飛行試験を7月から始めている。

 グループCFO(最高財務責任者)を務める中堀常務は、「まだボーイングから正式な通知は来ていないが、本当に慎重に、慎重にやっている」と、ボーイング側の対応について印象を語った。

 FAAは品質問題に対する監視を強化していることから、ボーイングによる今後の対応として「デリバリー遅延などもあるかもしれないが、退役の延期やリース機の返却延期などで事業計画には影響がないようにできると思う」(中堀常務)と、現時点で事業計画に大きな影響は及ばないとの見方を示した。

 ANAHDは、777Xの旅客型777-9を18機、貨物型777-8Fを2機の計20機を発注済み。737 MAXは標準型の737-8(737 MAX 8)を確定発注20機、オプション10機の最大30機導入する契約を結んでいる。

 今年度末のグループ機材数は前年度末から3機増の279機になる見通しで、今年6月末時点で86機(787-8:36機、787-9:43機、787-10:7機)ある主力の787は、2030年度には100機超に増やす。

 30日に発表した2024年4-6月期(25年3月期第1四半期)決算は、売上高が前年同期比12.1%増の5167億円で第1四半期として過去最高を更新。営業利益は30.7%減の303億円、経常利益が14.9%減の368億円、純利益が19.5%減の247億円となり、整備費や人件費増で営業費用が増加したものの、営業益はコロナ前の最高益を上回った。

 通期予想は4月の発表から据え置き。売上高が2024年3月期比6.5%増の2兆1900億円、営業益が18.2%減の1700億円、経常益が22.9%減の1600億円、純利益が30.0%減の1100億円を見込む。