「出遅れまくる」中国インバウンド復活までの道のり、航空会社の戦略的提携とは

AI要約

日中間の航空路線は1974年に開設され、現在では総計14社の中国系航空会社が就航しているが、中国人の訪日客数はコロナ禍前の25%にしか回復していない。

日本側はJAL、中国側はCAACが関与し、日中間の航空路線は50周年を迎えるが、中国系航空会社の拡大や日系航空会社の動向も注目されている。

新型コロナウイルスの影響で訪日客数が激減し、中国人の訪日客数は他国に比べて回復が遅れているが、専門家は日中間の観光交流について議論している。

「出遅れまくる」中国インバウンド復活までの道のり、航空会社の戦略的提携とは

 1974年に開設された日中間の航空路線は、2024年9月で50周年を迎える。路線開設時、日本側はJAL、そして中国側は中国民航(CAAC)で結ばれた東京・大阪と北京間の航空路線だが、現在では総計14社の中国系航空会社が日中間に就航している。ただ、現在中国人の訪日客数はコロナ禍前の25%にしか回復していない。本稿では中国インバウンドの今後を占う。

 日中間の航空路線はどのように拡大していったのだろうか。日系航空会社の動きから見ていくと、JALが独占していた国際線に風穴を開けたのは、1987年に中国路線に乗り入れたANAである。その後、日本エアシステム(JAS)がJALに統合される2000年以前に上海、西安、広州、昆明の4都市に乗り入れた。2012年にはLCCが就航し、ピーチアビエーションとジェットスタージャパンが上海路線を開設した。

 一方、中国系航空会社の動きは独特だ。中国政府の民営化政策によりCAACの独占状態に変化が現れたのは1988年だ。当時CAACが分社化し、管理局と呼ばれる本社所在地ごとに6つの航空会社が誕生した。そして2002年には現在の大手3社と言われる中国国際航空(エア チャイナ)、中国東方航空、中国南方航空に集約再編された。2010年以降は、定期チャーターから始まるLCC春秋航空が就航し、その後五月雨式に中国系航空会社が就航。現在では、総計14社の中国系航空会社が日中間に就航している。

 ちなみに、就航当初に飛んでいたCAACの流れを汲むのが、CAACと同様に中国の首都北京を拠点とする中国国際航空だ。中国の航空会社の中で唯一機体に国旗をマーキングし、習 近平国家主席の外遊には毎回使用されるフラッグキャリアだ。中国を代表して日中就航50周年の記念式典も行う。

 新型コロナウイルスは、世界中の航空業界に甚大な影響を与えた。訪日客数は史上最大を記録した2019年の3188万人から一気に減少し、2021年には24万人になった。2023年になり、ようやく日本全体の訪日客数は2506万人と、コロナ禍前に対し78%にまで回復した。

 中国人の訪日客数は2019年に959万人を記録し、国別1位になっていたのに対し、2023年は242万人と25%にしか回復していない。現在インバウンド1位の韓国が2019年を超えており、2位の台湾は8割近く回復していることから、3位の中国は他国に比べて非常に出遅れている。背景には、渡航制限やビザの発給状況の変化、航空便の回復の遅れなどがある。

 この状況について、日中間の観光交流に詳しい専門家はどう見ているのか。話を聞いた。