パリ五輪、日本人選手メダルラッシュなら株価にも好影響 注目は五輪関連マークやロゴを使って宣伝できる「ワールドワイドパートナー」の3社

AI要約

オリンピックは投資のチャンスでもあり、日本人選手の金メダル数が増えると日経平均株価が上昇する傾向がある。

スポンサー企業や関連銘柄の株価も期待される中、トヨタ、ブリヂストン、パナソニックなどのスポンサー企業が注目されている。

また、飲食業やスポーツ観戦を提供する場の業種も期待されており、日本国内外で様々な銘柄が注目されている。

パリ五輪、日本人選手メダルラッシュなら株価にも好影響 注目は五輪関連マークやロゴを使って宣伝できる「ワールドワイドパートナー」の3社

 パリで開幕した4年に一度のオリンピック。メダルを懸けたアスリートたちの激しい戦いに注目されがちだが、実はオリンピックは投資のチャンスでもある。

 五輪のスポンサー企業にとって露出が大きく増える機会になるだけでなく、代表選手の活躍に刺激を受けて消費が拡大し、関連銘柄の株価上昇などが期待されるためだ。こんなデータがある。景気探検家でエコノミストの宅森昭吉氏の解説だ。

「夏季五輪では1968年のメキシコ大会以降、日本人選手の金メダル数が2桁に達した6大会(注:メキシコ大会のほか、1972年のミュンヘン大会、1984年のロサンゼルス大会、2004年のアテネ大会、2016年のリオデジャネイロ大会、2021年の東京大会の6大会)では、開催期間中の日経平均株価がすべて上昇しているというアノマリー(経験則)があります。

 日本人選手がメダルを量産すれば、応援する人たちも盛り上がり、スポーツバーなどに皆で集まって観戦しようという機運も高まるでしょう。そうなると、飲食や交通などの関連消費が拡大し、さらにグッズ購入などの消費でも株価に好影響を及ぼすと考えられます。

 しかも、金メダル2桁となった6大会のうち4大会は、五輪期間中だけでなく大会終了後も日経平均が上昇している。今大会も10個以上の金メダル獲得は射程圏内と考えられ、期待できるでしょう」

 7月29日時点で、柔道、スケートボード、体操、フェンシングで金メダルを獲得、今後もレスリングなど期待される競技は少なくない。

 では、どんな銘柄を選べばよいか。マーケットバンク代表の岡山憲史氏が言う。

「まず注目したいのは、IOC(国際オリンピック委員会)が管理する『ワールドワイドパートナー』に選ばれているパリ五輪のスポンサー企業です。この最高位スポンサーになれば、五輪関連のマークやロゴを使った自社製品の宣伝ができる。社名の世界的な露出が増え、世界最先端の技術やサービス提供に関する市場への浸透力向上が期待できます。今回、ワールドワイドパートナーとなったトヨタ自動車、ブリヂストン、パナソニックホールディングスの3社は注目でしょう」

 トヨタは大会期間中、関係者やボランティアなどが使用する電動車を2650台以上提供し、それら公式運営車両などにブリヂストンのプレミアムタイヤが装着される予定だ。パナソニックは会場を彩るAV機器を提供するといったかたちで、日本企業の製品が世界に向けてアピールされる格好になるのだ。

 加えて岡山氏は、JOC(日本オリンピック委員会)が管理するパートナー企業からもアシックスを注目銘柄に挙げた。前述の通り、パリ五輪・パラリンピックに出場する日本人選手団のオフィシャルスポーツウェアを提供するなどして、大会期間中の存在感が高まる。

「他にも、パリ観光の需要が期待される航空業界は、インバウンド関連銘柄として注目されるなかで、パリ五輪の盛り上がりが追い風となる可能性があります」(岡山氏)

 カブ知恵代表の藤井英敏氏は、日本国内の消費拡大に目を向ける。

「日本人選手の活躍次第で大きな浮揚効果が期待できる業種としては、友人・知人と集まって観戦する“場”を提供できる飲食業が挙げられます。大画面のプロジェクターやスクリーンが完備された英国風パブ『HUB』を運営するハブなどは、積極的な出店攻勢を続けており、各競技で日本勢が躍進すれば、大きな集客効果が望めます」

 岡山氏、藤井氏が挙げた注目銘柄は別表にまとめた通りだ。

「個別の競技では、金メダルへの期待が高まるスケートボード、ダンスを競う新競技・ブレイキンなどの関連銘柄を挙げました。日本人選手が金メダル級の活躍をすれば、関連業界の盛り上がりは必至でしょう」(藤井氏)

 投資を検討する人たちにとっても、“勝負の夏”がやってくる。

※週刊ポスト2024年8月9日号