プレイングマネジャーに必須“やめる勇気” …不要な仕事を捨てよ

AI要約

業務での成果を求められつつ、マネジメントもしなくてはいけない。新しい業務が増え続ける中、追い詰められるプレイングマネジャーの課題を解決するための4つのTipsを紹介。

「問題」解決を止め「課題」解決にフォーカスし、無駄な仕事を削減。毎週のKPTS会議で停止すべき仕事を決め、暇なメンバーに無理な仕事を与えず、必要なフォローを具体的に行う。

具体的な例を挙げながら、「問題」と「課題」の違いを解説。問題解決が不要な仕事であることを強調し、やるべき課題に集中することで生産性を高める。

プレイングマネジャーに必須“やめる勇気” …不要な仕事を捨てよ

業務での成果を求められつつ、マネジメントもしなくてはいけない。しかも、新しい業務がどんどん増えていく……。

追い詰められるプレイングマネジャーの課題をどうすれば解決できるのでしょうか?

前回の寄稿では「『定期的な1on』をやめてチーム会議をレベルアップ」することでチームの生産性を高める具体的な方法を紹介しました。

今回は「やらない仕事をあぶり出すこと」をテーマに、プレイングマネジャー自身が仕事のやり方を見直し、自分自身とチームの生産性を高めるための4つのTipsを紹介しようと思います。

先に言っててしまうと、4つのTipsとは以下の4つです。

「問題」解決を止め「課題」解決だけをする

毎週のKPTS会議で止める仕事を決める

暇なメンバーのために無理やり仕事を作らない

イケテイル週報で、フォローが必要なメンバーを絞る

それぞれ詳しくみていきましょう。

一般的には同じような意味で使われていることが多い「問題」と「課題」。私は、この2つを厳密に使い分けています。

・「問題」とは「もやもや」「気がかり」なこと。

・「課題」とは放置しておくとゴール(目的)達成を阻害すること。これが解決すべき事です。

例えば、私たちの体調が良くない場合をイメージしてください。

「問題」解決とは、以下のようなことです。

頭が痛いので、冷却ジェルシートを額に貼る

喉が痛いので、のど飴を舐める

寒いので、カイロを貼る

上記のように、対処療法で解決しようとすることです。一時的に解消するかもしれませんが、再発する可能性があります。

もしも健康でいる事をゴールだと置くならば、睡眠、食事、運動などの生活習慣を見直すことが必要です。これが「課題」を解決することになります。

会社でも、目の前の「問題」への対応に労力を取られて、本来の「課題」を特定し、その解決に時間や経営資源(人、モノ、カネ)を向けられていないことはないでしょうか?

例えば「ビジネスで売上目標達成すること」を例に考えてみましょう。

値引きをする

サービスをする

キャンペーンをする

接待をする

など対処療法で解決しようとするのではなく、「課題」解決をすることを考えます。

もし安定的に「売上」を上げ続ける事をゴールだと置くならば、顧客が継続利用している理由に着目して、顧客満足度を高めて、離脱率を下げる、つまり「継続率を高めること」が必要です。これが「課題」を解決することになります。

しかし、ついつい目の前にある「もやもや」「気がかり」な問題解決をしたくなります。

それをしないために、まず「問題」を管理する。そして次に「課題」化するという2つのステップを作るのです。

具体的な方法は以下です。

STEP1:全メンバーに日ごろ気になる問題(もやもや、気になること)をスプレットシートなどに記載してもらう

STEP2:定期的(1週間から1か月に1回)に仕分けをして、課題化する

課題化する際のポイントは、「ゴールの達成を阻害しているかどうか」と「1粒で2度おいしくできないか(1つで複数の問題を解決できないか)」という2点です。

ゴールを阻害する課題は解決が必要なのですが、そうではない問題は放置すればよいのです。

例えば企業にとって「人が辞める」ことはもやもやします。なんだか「気がかり」でもあります。では、必ずしもこのもやもやした「問題」は解決しなければいけないでしょうか?

企業がリストラをしている(ダウンサイジングがゴール)のであれば、放置できます。

あるいは、自社にマッチしないと人だけが辞めているのであればこれも放置できます。

もちろん、自社にマッチしない人を採用活動している方法は、別の「問題」であり、ゴールによっては解決しないといけない「課題」かもしれません。

問題が見つかったとしても、すぐに問題を解決しなければいけないわけではないということです。問題を集めて、その問題から解決すべき課題だけを解決するという考え方です。

問題解決は不要な仕事なのです。

慶応大学環境情報学部教授の安宅和人さんは、著書『イシューからはじめよ』で、解決すべきイシューは100のうち1、2個だと言っています。

やらないで良い「問題解決を止めて」、やるべき「課題解決をする」だけで、多くの時間を生み出すことができるのです。