兄からの性的虐待、後遺症に苦しむ女性が知った「ほんとうの病名と治療法」…「同じ境遇だった方が、救われてほしい」

AI要約

小林エリコさん(47)は、幼少期に兄からの性的虐待を受けて育った。そのトラウマが精神的な症状として現れ、社会復帰を目指すも困難を極めた。

苦しい経済状況と心の闇により、小林さんは自殺未遂を繰り返し、精神病棟で入院し退職。病気と格闘しつつ、厳しい現実との戦いが続く。

孤独と絶望に苛まれながらも、小林さんは一歩ずつ前に進み、回復への道を模索している。

兄からの性的虐待、後遺症に苦しむ女性が知った「ほんとうの病名と治療法」…「同じ境遇だった方が、救われてほしい」

【注意】本記事には、性的虐待の実体験を含む表現がございます。閲覧にはご注意ください。

小林エリコさん(47)は、幼少期に兄からの性的虐待を受けて育った。他者の要求を強く断ることができない性格も災いし、中学生になる頃にはトラウマが精神的な症状として現れるようになってしまう。そしてそれは小林さんの生活を今も蝕んでいる。「兄のせいで、私の人生は滅茶苦茶になりました」としながらも、「性被害の後遺症から回復していく過程をお伝えしたかったからです」と、「現代ビジネス」の取材に答えてくれた。前編〈恐怖心から抵抗できず…兄からの性的虐待を受けた女性が「月1回」しか風呂に入らなくなった「切実な事情」〉とあわせてお読みください。

兄からの性的虐待が収まってからも、中学生で塾講師に胸を触られるなどの精神的トラウマを負った小林さん。その後短大を卒業し、20歳で実家を出て、就職活動を始める。しかし当時は就職氷河期だったこともあり、就職したのは社保無し残業代なし、月給手取り12万円という厳しい条件の編集プロダクションだった。生活は困窮していたが、会社を辞めるという選択肢は取れなかった。

「いじめや性加害の影響からか、嫌なことを断れない人間になってしまいました。自分の感情をずっと無視して生きてきたので、感覚が麻痺してしまったように、何が心地良いのか、何がつらくて不快なのかがわからないのです。編集プロダクションでの仕事は理不尽だと思いましたが、辞めるということは考えませんでした。しかし一方で、心と体は限界に達していました」

精神疾患による後遺症に加え、経済的な苦難でやり切れない気持ちになった小林さんは、就職から半年後に自殺未遂を図った。そのまま精神病棟に1ヵ月半入院し、退職を余儀なくされ、医師からは数年単位での休養をすすめられた。

その後、実家に戻った小林さんは、デイケアに通いながら社会復帰を目指した。しかし、症状は思うように改善せず、そのうちリーマンショックが訪れたことで、小林さんは社会復帰が難しいと絶望感を募らせていく。

「この頃は、20代も折り返しを過ぎており、社会との接点がないことがつらく、世間から取り残されていく焦りや不安が大きかった。デイケアの仲間と会話することで正気を保っていましたが、それも結局ごまかしごまかしなわけです。自宅で我に返ると『一生働けない』と絶望して、アルコールに溺れ、結果的に自宅でも自殺未遂をしてしまいました」