中国「新エネルギー車」に集まる期待! 充電時間の改善急務も、「燃費・航続距離」で評価上昇という無視できない現実 米系調査会社のリポートで明らかに

AI要約

米系調査会社J.D.パワージャパンが2024年中国版新エネルギー車(NEV)商品魅力度調査の結果を発表。

NEVの商品魅力度は着実に上昇し、中国新興メーカーが海外メーカーに迫る。

ユーザーは安全性と性能を重視する傾向が強まっており、カスタマイズ化も進んでいる。

中国「新エネルギー車」に集まる期待! 充電時間の改善急務も、「燃費・航続距離」で評価上昇という無視できない現実 米系調査会社のリポートで明らかに

 米系調査会社J.D.パワージャパンは7月16日、2024年中国版新エネルギー車(NEV)商品魅力度調査の結果を発表した。

 同調査は毎年実施されており、中国のユーザーがNEVを購入する際に何を重視するかを判断するための有益なデータ源となっている。

 本稿では、2022年以降の直近3年間の調査結果をもとに、NEVの魅力をより深く掘り下げ、ユーザーの期待に応えるために中国メーカーが取り組むべき課題を提示する。

 J.D.パワーの調査は、2023年6月から2024年1月までにNEVを購入したユーザーを対象に行われた。回答数は9937件で、11カテゴリー45項目の評価項目からNEVの魅力をまとめた。各項目は1000ポイント満点で採点され、商品の魅力を数値化している。

 過去3年間の調査結果から、NEVの商品魅力度の傾向をまとめると以下のようになる。

 まず、NEVとしての商品魅力度(ポイント)は、

「739(2022年) → 776(2023年) → 789(2024年)」

と着実に上昇していることがわかった。

 次に、メーカー別(中国メーカー、中国新興メーカー、海外メーカー)では、2年連続でトップとなった海外メーカーの平均が800ポイントだったのに対し、中国新興メーカーの平均は

「798ポイント」

に迫り、2022年の14ポイント差から2ポイント差となった。2025年は中国新興メーカーが首位に立ちそうな勢いを見せている。

 項目別の調査結果で最も商品魅力度が向上したのは

「燃費/航続距離」

で796ポイント(前年比16ポイント増)。「外装」も818ポイント(前年比11ポイント増)と高い。

 2022年調査では、車両別で人気のあるボディカラーがわかれており、

・スモールバッテリー式電気自動車(BEV):青

・コンパクトBEV:白

・ミッドサイズBEV:黒/グレー

・ミッドサイズBEV SUV:黒

・マスマーケットプラグインハイブリッド車(PHEV):グレー

などとなっていた。これに対して、定番色(黒、白、グレー、シルバー、赤、青)以外のボディカラーのクルマを所有するユーザーの満足度は著しく高く、ボディカラーのカスタマイズ化が進んでいる。

 一方、「充電」については、前年比で14ポイント改善しているものの、779ポイントにとどまっており、さらなる改善が必要である。特に、普通充電速度のスコアが最も低く、普通充電の平均時間は前年の7.6時間から0.5時間短縮されたものの、依然としてユーザーの期待に応えられていないことが明らかになった。

 その他の調査結果からは、中国のユーザーが安全性と性能をますます重視するようになっていることがわかる。「安全性」は1.5%増の8.4%となり、「充電」や「燃費/航続距離」といった性能面だけでなく、安全性への関心が高まっていることがうかがえる。