「すし+チーズ」牛乳・乳製品輸出の可能性 国際酪農比較ネットワーク代表が語る

AI要約

国際酪農比較ネットワークの代表が来日し、日本の酪農業界の課題と可能性について提言。労働力不足や後継者確保の重要性、輸出拡大に向けたブランドイメージの確立がポイント。

酪農家の将来を見据え、もうかっている状況を作ることが重要。若者にとって魅力的なサプライチェーンを構築し、後継者確保につなげる必要がある。

日本の牛乳・乳製品の輸出にはブランドイメージの強化が不可欠。他国の成功例を参考に、付加価値を付けて販売し、国のライフスタイルをイメージできるPR戦略を展開することが重要。

「すし+チーズ」牛乳・乳製品輸出の可能性 国際酪農比較ネットワーク代表が語る

 世界の酪農・乳業関係の企業や研究者などでつくる「国際酪農比較ネットワーク(IFCN)」のルーカス・ウィルジコフスキー代表が来日し、日本農業新聞など報道機関のインタビューに応じた。日本の牛乳・乳製品の輸出の可能性を巡り、国と製品それぞれのイメージを組み合わせるなどで日本のブランドを確立することが重要と提起。労働力不足など業界が抱える課題は世界共通だと指摘した。

 ──日本では酪農家戸数の減少が続き、担い手確保も課題です。

 米国の酪農家からも(給与水準が高い)都市部のファストフード店などと比べると働き手から選ばれにくく、労働力不足に悩まされていると聞いた。途上国でも同じで、酪農業界全体の課題と捉えていいのではないか。日本は海外からの労働力を活用するのも一つの手だ。

 後継者確保に最も重要なことは、酪農家がもうかっている状況をつくることだ。将来を担う若者が酪農のサプライチェーン(供給網)の全体を見渡して「これなら先が見える」と実感できるようにする必要がある。

 ──日本の牛乳・乳製品の輸出拡大に必要な視点は。

 ブランドイメージを確立してはどうか。欧州に住む者として、日本産は品質面で評価が高いと感じる。(価格競争力で劣るため)付加価値を付けて売り込むことが必要だ。

 フランスではチーズとワインなどを組み合わせてPRしている。例えば、すしと(北海道・十勝など)産地の名を冠したチーズを一緒に振る舞うなど、その国のライフスタイルをイメージできるようなPRの仕方が求められているのではないか。

 ──日本の酪農家にメッセージを。

 初めて来日したが、経営者や従業員が前向きに仕事をしている姿を垣間見ることができた。経営を良くするためには、学ぶことを忘れてはいけない。同じ地域や供給網の中で協力していく精神を持つことも大事だ。

(聞き手・松村直明)

 ルーカス・ウィルジコフスキー ポーランド出身。世界100カ国以上の酪農・乳業関係の団体・企業でつくり、各国の酪農経営に関するデータの比較分析などを行うIFCN(本部・ドイツ)に約13年携わる。昨年から現職。