「下請けいじめ」防止へ下請法改正検討 公取委など、取引適正化で中小の賃上げ促す

AI要約

公正取引委員会と中小企業庁は不当な商習慣の抜本是正に向けた議論を始め、下請法の改正を検討している。

大企業による下請け業者への「買いたたき」が中小企業の価格転嫁を妨げ、物価上昇を上回る賃上げを目指している。

下請法の名称変更など、下請け業者と大企業の関係性を見直す方向で検討が進められている。

「下請けいじめ」防止へ下請法改正検討 公取委など、取引適正化で中小の賃上げ促す

公正取引委員会と中小企業庁は22日、大企業が下請け業者に払う代金を低く定める「買いたたき」など不当な商習慣の抜本是正に向けた議論を始めた。「下請けいじめ」が中小企業の価格転嫁を妨げており、下請法の規制強化で取引適正化を図り、物価上昇を上回る賃上げにつなげる。上下関係を思わせる「下請け」という用語の見直しも含め、来年の通常国会での法改正を視野に検討を進める。

公取委と中小企業庁は22日、企業の取引環境整備に向けた方策を議論する有識者会議「企業取引研究会」の初会合を開いた。主要な改正から約20年が経過した下請法について現状に即した見直しを進め、中小企業の経営環境の改善を図る。

公取委の向井康二官房審議官は会合で「物価上昇を上回る賃上げを定着させていくためには、適切な価格転嫁を新たな商習慣とする必要がある」と強調した。

公取委などは買いたたきに関し、円安や原材料高が続く中で大企業が協議なしに価格を据え置くケースも問題視。下請け業者の経営を圧迫するような価格設定を防ぐ措置を検討する。

また自動車業界などでは大企業が金型を実質的に管理しながら、下請け業者に無償で保管させることが問題となっており、こうした事例に対する法適用の考え方も明確にしたい考えだ。

下請けという用語を巡っては「発注者(大企業)と受注者(下請け業者)が対等な関係でないとの印象を与える」との指摘がある。これに代わる言葉も模索する方向で、下請法の名称も変わる可能性がある。(中村智隆)