責任の所在は?実際の現場でも起こりうる医療過誤~『ブラックペアン』監修ドクターが解説 vol.24~

AI要約

『ブラックペアン シーズン2』のシーズン1で放送された7話の医学的解説について要約すると、心臓外科手術はチーム医療が重要であり、執刀医の責任が大きいことが強調されている。香織が体験した医療過誤や過去の悲しい経験も取り上げられている。

心臓外科手術では多くの医療スタッフが協力し、人工心肺や人工弁などの機器を使用するため、チームワークと的確な指示が必要とされる。執刀医は患者の命を守る責任を持ち、ミスや責任転嫁が重大な問題として描かれる。

物語では医療現場のリアルな事情や医療過誤に焦点が当てられており、執刀医の責任感やチーム医療の重要性が強調されている。

責任の所在は?実際の現場でも起こりうる医療過誤~『ブラックペアン』監修ドクターが解説 vol.24~

二宮和也主演で6年ぶりに日曜劇場に帰還する『ブラックペアン シーズン2』。シーズン1に引き続き、医学監修を務めるのは山岸俊介氏だ。前作で好評を博したのが、ドラマにまつわる様々な疑問に答える人気コーナー「片っ端から、教えてやるよ。」。シーズン2の放送を記念し、山岸氏の解説を改めてお伝えしていきたい。今回はシーズン1で放送された7話の医学的解説についてお届けする。

※登場人物の表記やストーリーの概略、医療背景についてはシーズン1当時のものです。

■香織が体験した医療過誤

心臓外科の手術は通常の手術よりも少し大変で、というのも大半の手術が臨床工学技士(Medical Engineer;MEさんとか呼んだりします)に人工心肺という機械を操作していただいたり、麻酔科の先生にも経食道エコー検査などを手術中に見ていただいたり、通常の手術よりもたくさん手術器具を使用することもありますし、たくさん針と糸を使用しますので器械出しのオペ看護師さんにも迷惑をかけてしまいます。

術者(執刀医)は第一助手、第二助手に助手してもらい、MEさん、麻酔科の先生、器械出しの看護師さん、針、糸、人工弁、人口血管等を取り扱う医療機器メーカーさん、様々な人の協力のもと手術を行い、患者さんの命を守り、救わないといけません。それぞれの業種の人に的確に指示を出し、チームワークを最大限に発揮できるような協調性、キャプテンシーがないといけません。

心臓外科手術は究極のチーム医療と言っても過言ではありませんが、しかし、このドラマで何回も渡海先生が強調している「執刀医の責任」。患者さんに何かあった時の全責任は執刀医にあります。これは当たり前のようで、当たり前でなくなる状況が実は存在し、手術中のミスを助手のせいにしたり、患者さんの状態が悪かったからと言ってみたり、看護師さんの間違いにしたりする外科医は実際にいるのです。

香織も執刀医のミスをなすりつけられ、病院を追われた悲しい過去の持ち主でした。