SWFと中銀、懸念材料として地政学がインフレ上回る=調査

AI要約

世界の政府系ファンドと中央銀行の懸念がインフレから地政学的な対立に移ったことがインベスコの調査で明らかになった。

調査結果によると、地政学的な緊張が今年の最大の懸案事項であり、将来の地政学的な分裂と保護主義も大きなリスクとして指摘された。

気候変動や新興国市場に関する予想も含め、投資環境における懸念と期待が示されている。

SWFと中銀、懸念材料として地政学がインフレ上回る=調査

Libby George Marc Jones

[ロンドン 22日 ロイター] - 世界の政府系ファンド(SWF)と中央銀行にとって、最大の懸案事項がインフレから地政学的な対立に移ったことが、インベスコが22日に公表した年次調査結果で分かった。世界人口の約半分を占める国々で今年選挙が実施され、米中間の貿易紛争が強まるなどの情勢が反映されている。

インベスコの公的機関責任者、ロッド・リングロウ氏は「当然のことながら、今年は選挙年だ。短期的にも長期的にも、今後の見通しにおいて地政学が(インフレを)しのいだ」と述べた。

「インベスコ・グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント調査」は今年第1・四半期、総額22兆ドルを運用する83のSWFと53の中銀を対象に行った。

それによると、調査対象の83%は短期的な最大の懸案事項に地政学的な緊張を挙げた。今後10年間に関しては、地政学的な分裂と保護主義を挙げた割合が86%に上った。

長期的には、気候変動が2番目に大きなリスクとして指摘された。リングロウ氏は「気候変動は今や主流の問題になっており、SWFと中銀の投資過程に組み込まれている」と語った。

西側が凍結しているロシアの資産3000億ドル余りを没収する可能性も、中銀の警戒感を誘っている。中銀の56%は、資産が「武器に使われる可能性」から、金の魅力が高まったと回答した。

リングロウ氏は「金地金を購入する中銀が増えている」と指摘した。

また、調査対象の半分以上は、世界の多極化が進むのに伴い、新興国市場が恩恵を被ると予想。SWFの67%は、新興国市場が先進国市場並みか、それを上回る運用成績をもたらすとの見方を示した。