10年前に妻を亡くした岩本恭生さん「夫婦で家計簿をつけておけば良かった」と後悔 税控除が減って手取り減、遺族年金も受け取れず

AI要約

夫婦の片方が逝くという宿命の中で、置き去りにされがちだった「ひとりになった時のお金」の問題が浮かび上がる。

生活費や収入減など、配偶者が亡くなった後にお金の管理に困る人が増えている現状。

遺族年金の制度や専業主婦から生活保障がどのように変化するか、具体的な事例を通じて紹介。

10年前に妻を亡くした岩本恭生さん「夫婦で家計簿をつけておけば良かった」と後悔 税控除が減って手取り減、遺族年金も受け取れず

 夫婦はどちらかが必ず先に逝く。その宿命のなかで、これまで置き去りにされてきたのが、「ひとりになった時のお金」の問題だ。遺された配偶者は何にどれだけのお金を使うことになるのか──。

 ひとり身になっても変わらぬ出費から実は増えやすいお金まで、収支の現実を知ることが“いざその時”への備えになる。ひとりで生きるためのお金の防衛術を夫婦で今から学んでおく。

「家計は妻に任せっきりにしていたので、お金に無頓着でした」

 こう語るのはタレントの岩本恭生さん(72)。2014年2月、岩本さんは恵美夫人(享年52)を誤嚥性肺炎で亡くした。

 その後、生活費や子供の教育費などのやりくりといった「お金の管理」に翻弄されたという。

「買い物下手で計画的に食材を買えず、スーパーで買った青物を腐らせたり、冷蔵庫を確認せずに都度買い物に行くのでその度に余計な物を買ってしまったり……。1回数百円でも積もれば1か月で2万~3万円ほどを無駄にしていたと思います。子供が通う自動車教習所の費用くらいにはなっていたなと後悔しています」(岩本さん)

 妻を亡くした後、岩本さんのようにお金の管理に困る人は多い。さらに、そこに「収入減」の打撃が加わる。

 岩本さんの妻は専業主婦だったため、妻を亡くすと配偶者控除がなくなったという。

「扶養家族が減って税控除が少なくなり、手取りが減りました。そのうえ私は遺族年金の受給要件には当てはまらず、妻の分の年金はこれまで1円も受け取っていません」(岩本さん)

 社会保険労務士の蒲島竜也氏が指摘する。

「基本的に遺族年金は夫を先に亡くした妻と子供を救済する制度です。妻が先に亡くなった場合、夫は支給条件を満たさないケースが多く、支給されてもごく少額の場合が散見されます」

 専業主婦の妻が会社員の夫を亡くした場合、遺族厚生年金とは別に子供が18歳になるまで遺族基礎年金と子の加算、65歳まで寡婦加算、その後は妻自身の老齢基礎年金も合わせた額が一生涯受給できる。