バス運転士不足問題に対しいろいろな制度改革が行われているが果たして解決につながるか?

AI要約

バス運転士不足の問題解決のため、二種免許の学科試験言語が多言語化され、外国人にも門戸が開かれた。

AT限定免許の導入により、MT車の製造減少に対応し、現場の負担を軽減する一方、運転技術の継承や乗り心地に異論もある。

AT限定免許に伴い、MT車の教習時間が無くなり、運転免許取得費用の事業者負担が効率化される。これは大規模な運転士育成において大きな費用圧縮につながる可能性がある。

バス運転士不足問題に対しいろいろな制度改革が行われているが果たして解決につながるか?

 バス運転士不足の問題解決のため、これまでにいくつかの制度改革が決定し、実施されている。これらが今後どう解決につながるのかを検討してみた。

 文:古川智規(バスマガジン編集部)写真:東出真

(写真はすべてイメージであり本文とは関係ありません)

 まず、バスの運転に必要な大型二種免許をはじめとする二種免許の学科試験の受験言語が多言語された。これは実施済みの地域もあれば、これから実施される都道府県もある。第一種免許は外国人居住者増加のためにすでに以前から多言語化されていたが、旅客を乗せる第二種免許は実施されていなかった。

 外国人が運転するタクシーやバスは大丈夫なのかという問題以前に、日本人の日本での職業を奪うことになりかねない二種免許の取得を困難にすることで、日本人の職業を守るという側面が強かったはずだ。

 しかし、当の日本人がなりたくない職業になってしまったことから、運転士が不足し日常生活に支障をきたし始めたことから、背に腹は代えられないとばかりに外国人にも門戸を開かなくてはならなくなった。

 外国人による運転士のなり手が増えるかどうかは、今後の推移を見守る必要があるものの、主な乗客を構成する日本人が不安を覚えないかどうかに注目が集まりそうだ。誠に勝手な理屈だが、こうなっているのは事実だ。

 トラックやバスでもAT車が主流になり、日本で製造する路線バスタイプではすでにMT車は製造していない。それを追随する形で、大型免許(一種・二種にかかわらず)にAT限定免許が導入される予定だ。

 現役の運転士からは運転技術の継承や、乗り心地の問題等で異論はあるものの、すでに製造していないMT車は減少の一途だ。MT車が事業者からなくなる過渡期において、免許により運転できる出来ないの車種が発生する可能性はあるものの、現状を追認し将来を先取りした形だ。

 AT限定免許が登場すると、MT車の教習時間が無くなる。これにより現状は運転免許取得費用を事業者が負担しているので、時間的にも費用的にも事業者負担が節約できることは間違いない。

 一人や二人の育成ならば大したことはないが、何十人、何百人の運転士を今後継続して育成することを考えると、チリも積もれば何とやらで、大きな費用圧縮につながる。