夫婦で話し合っておきたい「ひとり遺された側は老後をどこで過ごすか」 いつまで自宅で過ごせるかの見極めポイント

AI要約

夫婦どちらかが先に逝った時、ひとり遺された側は老後をどこで過ごすかを話し合う重要性について述べられています。

家族じまいを代行する組織LMNの遠藤英樹代表理事の意見や、在宅と施設入所の選択肢、最後まで過ごす場所の選定方法について説明されています。

認知症の進行や意思能力の低下を考慮し、遺された側が適切な選択をするためのポイントや注意事項が示されています。

夫婦で話し合っておきたい「ひとり遺された側は老後をどこで過ごすか」 いつまで自宅で過ごせるかの見極めポイント

 夫婦どちらかが先に逝った時、ひとり遺された側は老後をどこで過ごすか。夫婦が元気なうちに話し合っておくテーマだ。「家族じまい」を代行する一般社団法人LMNの遠藤英樹代表理事が言う。

「自宅をバリアフリーにして介護に備える、あるいは施設に入居する。どちらにせよ多額の費用や準備が必要で、いざひとりになってから考えても間に合いません。認知症になるなど意思疎通が難しくなってからだと、家族内で意見が分かれて揉めるケースが珍しくない。介護は子供が関わってくる問題なので、前もって子供も交えて決めておくことが大切です」

 わが家で最期まで過ごしたい人は多いが、現実的に難しいケースもある。決めておきたいのは「見極めのポイント」だ。

「『自分で食べて自分で排泄できなくなる』や『家族が仕事を休んでまで介護する』など、“ここを超えたら在宅をあきらめる”というポイントを事前に決めておくことが重要です」(遠藤氏)

 夫婦が元気なうちに入居する施設を検討しておくことも望ましい。

 特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など終の棲家候補は豊富にある。

「それぞれに特徴があって費用も異なり、認知症があるかないかでも候補は変わります。夫婦とも60代になったら住まいの近くにある施設を調べて情報を収集しましょう」(遠藤氏)

 自立している夫婦なら「施設に一緒に入る」という選択もあり得る。

「サ高住や自立型の住宅型老人ホームは夫婦で一緒に入居することが可能です」(同前)

 一方で無理して施設に入らず、介護が必要になったら子供に頼らず介護サービスを目一杯使い、自宅に住み続けるという選択肢もあると遠藤氏。

「仮に夫婦で施設に月20万円支払うなら、そのお金をすべて介護サービスに回すという考え方も選択肢になりそうです」

 年齢や体調、本人の希望を考慮して、終の棲家を探したい。

 注意すべきは、認知症の進行などで意思能力が低下すると死後事務委任契約を交わせないことだ。

「男性の場合、妻を亡くした後に急激に認知症が進むケースが多い。死後事務委任契約を検討するなら、夫婦が健在のうちに代理人を選定して契約しておきましょう」(同前)

 どんな煩雑な手続も、夫婦で備えれば乗り越えられる。

※週刊ポスト2024年7月19・26日号