スズキが四輪車の技術戦略を発表 コンパクトなクルマづくりで“エネルギー極少化”を追求

AI要約

スズキは2024年7月17日、エネルギーの消費を最小限に抑えることを目標とした、この先10年を見据えた四輪車の技術戦略を発表した。

伝統的にコンパクトなクルマを得意とするスズキでは、「小・少・軽・短・美」をコンセプトに掲げ、小型軽量・高効率なクルマづくりをとおして、環境負荷や、カスタマーおよび社会の負担を低減する取り組みを進めてきた。クルマが小型軽量になれば、製造に要する資材やエネルギー消費が減るだけでなく、走行時にかかるエネルギー消費も抑制され、また路面を傷めないことから道路等の交通インフラにかかる負担も軽減するという考え方だ。

いっぽう、環境負荷低減の急先鋒とされる電気自動車(BEV)に関しては、2035年に日本で新車市場の約4割、インドでその3分の1、欧州でその全量がBEVになると予想。同時に「ライフサイクル全体において、BEVのエネルギー消費量がハイブリッド車(HEV)のそれを下回るためには、非化石燃料由来の電気エネルギーが75%を超えなければならない」という試算も発表。マーケットごとの電力事情や法規、自動車の使用状態などを鑑みた、BEVシフトだけに頼らない多様な取り組みの重要性を強調した。

さらなる詳細や斬新な技術が発表されたが、ここでは四輪車に焦点を当てている。

スズキが四輪車の技術戦略を発表 コンパクトなクルマづくりで“エネルギー極少化”を追求

スズキは2024年7月17日、エネルギーの消費を最小限に抑えることを目標とした、この先10年を見据えた四輪車の技術戦略を発表した。

伝統的にコンパクトなクルマを得意とするスズキでは、「小・少・軽・短・美」をコンセプトに掲げ、小型軽量・高効率なクルマづくりをとおして、環境負荷や、カスタマーおよび社会の負担を低減する取り組みを進めてきた。クルマが小型軽量になれば、製造に要する資材やエネルギー消費が減るだけでなく、走行時にかかるエネルギー消費も抑制され、また路面を傷めないことから道路等の交通インフラにかかる負担も軽減するという考え方だ。さらにレアアースやレアメタルの供給にまつわる資源リスク、温室効果ガスや大気汚染の発生といった環境リスク低減の観点からも、「エネルギーの極少化」(報道資料より)に取り組むとしている。

いっぽう、環境負荷低減の急先鋒(せんぽう)とされる電気自動車(BEV)に関しては、2035年に日本で新車市場の約4割、インドでその3分の1、欧州でその全量がBEVになると予想。同時に「ライフサイクル全体において、BEVのエネルギー消費量がハイブリッド車(HEV)のそれを下回るためには、非化石燃料由来の電気エネルギーが75%を超えなければならない」という試算も発表。マーケットごとの電力事情や法規、自動車の使用状態などを鑑みた、BEVシフトだけに頼らない多様な取り組みの重要性を強調した。

●軽くて安全な車体

現在のスズキ車に取り入れられている軽量プラットフォーム「ハーテクト」をさらに進化させ、車両の安全性を落とすことなく軽量化技術によるエネルギーの極少化に取り組んでいく。軽量化を統括する技術本部長のもとに各開発部門が協力し、車体、足まわり、パワートレイン、電装、内外装と、クルマを構成するすべての分野で重量の軽減を追求。軽自動車の次期型「アルト」では、車重680kgの現行モデルより100kgの軽量化を実現し、600kgを切る車両重量を目指す。

●バッテリーリーンなBEV/HEV

各マーケットの電気事情やカスタマーのクルマの使い方に合わせ、最もエネルギー効率がいい選択となる「適所適材な電動車」の提供を目指す。小さく効率に優れる電動ユニットや、少ないエネルギーで走れるプラットフォーム、少ないエネルギーで十分な走行距離を実現する安全・高耐久なバッテリーなどにより、エネルギーを極少化したBEVやHEV、プラグインハイブリッド車を開発。過剰にバッテリーを搭載しない、“バッテリーリーン”な電動車の実現を目指す。またバッテリー搭載量の削減により、充電時間の短縮も実現する。このうち、EVについては2025年より市場投入を開始。HEVについては48Vシステムの「スーパーエネチャージ」を開発し、広範なモデルに導入していく。

●SDVライト(right)

アフォータブルな仕組みでクルマの価値を創造する、スズキ独自のSDV(Software Defined Vehicle)「SDVライト」を開発する。ソフトウエアの更新には、有線と無線(OTA)の両方を活用。車両側に統合ECUを用いた電子プラットフォーム(インフォテインメントシステムなどオプション装備のECUは統合しない)については、ハードウエアを共用するなどして部品費を抑制。ソフトウエアも再利用のソフトと内製のソフト、オープンソースを使いわけて開発費を抑え、過剰ではないが必要な機能をきちんとそろえた「これでいい、これがいい」とカスタマーが感じられるSDVを目指す。またADAS(先進運転支援システム)については、インドでは過度な渋滞に対応した低速時の支援システムを実現するなど、地域最適なシステムを投入していく。

●リサイクルしやすい易分解設計

リサイクルや再利用を前提にした分解しやすい製品設計を行うことで、資源の総使用量を抑制し、エネルギー極少化によるサーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現する。車両の開発に際しては、法規・認証本部が各マーケットの法規状況やその狙いを読み解いて、認証の取得や廃車後のリサイクルが可能となるクルマづくりを開発部門に指示。また各マーケットで車両の回収、解体、リサイクルなどを行う資源循環システムを構築する。

なお、今回は四輪車に関連する技術の解説にとどまったが、スズキではこうした環境負荷低減の取り組みを、二輪車事業やマリン事業でも推し進めるとしている。