接客は92歳、調理は71歳、出前は44歳 3世代つなぐ人情食堂は50年間大盛況
千葉県の卸売市場で50年近く営業している3人の人気食堂の物語。調理から配達まで愛情を込めた朝ごはんが地元の人々に支持されている。
開店前から行列ができる「大乃家食堂」。朝早くから調理を始め、おにぎりを作って出前に行く手入れようの様子。
店内は常に満席で、人気の海鮮丼や銀ダラ煮つけ定食が人々に愛されている。店主の安枝さんも92歳ながら元気に接客に応じている。
千葉県の卸売市場で50年近く食堂を営む3人。大野安枝さん(92)、長女の五十嵐好江さん(71)、そして孫の雅哉さん(44)です。連日行列ができる3人の人気店が、50年にもわたって愛され続けてきた理由を取材しました。
脂ののった焼き魚に、タレがしみ込んだ煮魚。
客
「うまっ!」
「アットホーム感があるんで、非常にいいです」
「朝の食事のオアシス」
船橋で50年愛される、朝ごはんが人気の店。千葉県の船橋地方卸売市場にある「大乃家食堂」です。
午前3時半、夜も明けぬうちから厨房(ちゅうぼう)に立つのは、調理担当の五十嵐好江さん。
好江さん
「腰が曲がって体が思うように取っていけないから、ドンドンドンドンやっとかないと、時間が間に合わなくなって」
同時にいくつもの料理を作っています。
好江さん
「御御御付(おみおつけ)を作って、お湯を沸かして、油揚げを煮ます」
「(Q.ホッケ大きいですね)うちのホッケ大きいのよ」
店は午前7時の開店ですが、その前に毎朝やっていることがあります。
好江さん
「ただ調理だけじゃなくて、配達、出前に行って」
100個近くのおにぎり作りです。具は焼タラコやシャケなど4種類。
好江さん
「(Q.おにぎりにコツは?)コツなんかないよ、自然と作って、あとは愛情。おいしくなあれ、おいしくなあれって」
午前6時、息子の雅哉さんが、おにぎりの配達に向かいます。
雅哉さん
「愛情込めて配達しています」
市場関係者
「だから愛情込めて食べてるよ」
市場関係者
「おいしいですよ。全然飽きずに、本当に毎日食べています」
いつもの時間に、いつもの味。好江さんのおにぎりは、市場の人たちの活力源です。
開店の時間が近づいてきました。すると、店の前には多くの人が列を作っています。
好江さん
「(Q.7時前からお客さん入っていましたね)ありがたいことにね」
朝ごはん一筋でやってきた「大乃屋食堂」のいつもの姿です。定番の「銀ダラ煮つけ定食」から、カレーライスなど様々なメニューが並びます。中でも人気メニューは「海鮮丼」です。
客
「魚がいろんなのがあって、おいしいです」
17席ある店内は常に満席。朝早くから仕込み、次々と注文をこなす好江さん。
客
「おいしかったよ」
雅哉さん
「ありがとうございます、またぜひお時間あるとき」
この店の看板娘がやってきました。
安枝さん
「みなさん、いらっしゃいませ」
接客を担当する、今年92歳になる大野安枝さん。「大乃家食堂」は、親子三代で切り盛りする店なのです。
安枝さん
「(Q.みんな並んででも食べたいと言っている)うれしいよ、ほんとに(涙をぬぐう)」
最近は体調がいいときにしか出られませんが、安枝さんが来ると、店内が活気づきます。
常連客
「おはようございます」
安枝さん
「おはよー」
常連客
「さみしいんだけど、全然見えなくて」
安枝さん
「これからくるよ」
味もさることながら、客との交流も大切にする「人情食堂」。それが50年以上続くゆえんです。