自国より“強い”戦闘機を輸出して大丈夫なの!? ただし高性能すぎてもダメ 同一機種なら強いのはドッチか

AI要約

戦闘機の性能は国家安全保障の要として重要であり、自国軍向けと輸出向けでの性能差について疑問が生じる。

過去は自国向けが強く、輸出向けが制限されることがあったが、近年はそうした事例が少なくなっている。

一部の機種では、輸出向けの方が新しいアビオニクスを搭載し、性能が向上している。

自国より“強い”戦闘機を輸出して大丈夫なの!? ただし高性能すぎてもダメ 同一機種なら強いのはドッチか

 戦闘機は国家の防衛力にとって不可欠な存在であり、その性能は国家安全保障の根幹を支える要素です。しかし、戦闘機を自国で生産できる国はアメリカ、ロシア、西欧諸国、中国、スウェーデン、韓国などに限られており、多くの国は輸入(ライセンス生産含む)に頼らざるを得ないのが現状です。

 そこで疑問が生じます。仮に同一機種であっても、自国軍向けと輸出用(他国向け)で性能差は存在するのでしょうか。

 一般的に、戦闘機は自国空軍向けのほうが強く、輸出向けの機体は機能制限を設けていると思われるかもしれません。確かにそうした事例はあります。代表的なものでは、2024年現在、航空自衛隊の主力戦闘機であるF-15J「イーグル」が挙げられるでしょう。同機は、採用後に開発元のアメリカから自己防御用の搭載電子機器(アビオニクス)に関して輸出制限をかけられた結果、同等の装備品を日本は独力で開発する必要に迫られました。

 しかし、近年ではこうした事例は少なくなっているようです。たとえばカタール空軍への輸出仕様であるF-15QAは、2020年の初飛行時点において最も高性能なF-15であり、本国アメリカ空軍仕様を上回るアビオニクスが搭載されていました。

 また、後にF-15QAをベースにしたアメリカ空軍仕様F-15EX「イーグルII」が開発・導入されているほか、航空自衛隊のF-15Jも「イーグルII」相当のアビオニクスにアップグレードされ、ほぼ対等の能力が得られる見込みです。

 一方、F-16に目を転じると、こちらは輸出仕様、すなわち外国向けの方が優れています。というのもアメリカ空軍の主力となるF-16はブロック50/52とよばれる仕様であり、比較的古いタイプです。現在新しく生産されているものはF-16Vブロック70/72とよばれる仕様で、これらはF-35の開発で培われた新しいアビオニクスを搭載し、ブロック50/52よりも高い性能を特徴としています。