F16戦闘機ようやくウクライナに、西側当局者は厳しい見方

AI要約

ウクライナが米国製戦闘機「F16」を受け取る見通しであるが、望んでいた機数には及ばない状況である。

F16供給には遅れや予備部品、言葉の壁など多くの障害があり、ウクライナの滑走路不足やロシアの攻撃への脆弱性も心配されている。

F16が奇跡を起こすべきではないとの見方があり、ウクライナにとって賢明な選択かどうかについて議論が続いている。

(ブルームバーグ): 今年夏、ロシア軍撃退に必要だと主張し続けてきた米国製戦闘機「F16」をウクライナはようやく受け取る見通しだ。だが、ゼレンスキー大統領らが望んでいた機数には遠く及ばない。

今週の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でF16引き渡しは大々的に宣伝されたものの、遅れや予備部品を巡る問題、ウクライナ軍パイロットと外国人教官の言葉の壁など、数々の障害に悩まされてきたと、事情に詳しい関係者が明らかにした。ウクライナに十分な滑走路がなく、ロシアの攻撃にさらされやすいことも計画当局者は懸念している。

関係者の1人によると、結果的にウクライナが展開できそうなF16は15機から24機程度で、同国首脳が求めていた300機を大きく下回る。別の関係者は、ウクライナが受け取るF16は夏に6機、年末までに最大20機だと述べた。

F16供給を巡る問題は極めて深刻で、ウクライナに戦闘機を提供するのは賢明なのか、今やゼレンスキー氏への支持を示すだけの極めて高額なショーなのではないかという疑問も浮上している。ウクライナ軍パイロットが米国などで訓練を開始してからの数カ月で戦場の様子は変わった。双方とも安価なドローンに依存するようになり、ロシアは防空を強化した。

対ロシアでF16が「奇跡を起こすと期待するべきではない」と、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のシニアフェロー、ジム・タウンゼント氏はくぎを刺した。また、「空軍基地は大きな打撃が見込める絶好の標的だ。いくつかについてロシアは既に攻撃しており、新たにやって来るF16に実世界への歓迎を見舞おうとするだろう」と、その弱点を指摘した。

NATO高官は計画当局者の頭に重くのしかかっている問題を3つ挙げた。まず、偵察や戦闘など役割に応じて機体の設定を修正する必要がある。第2に、ウクライナにはF16に必要な質が高く長い滑走路や、ロシアの攻撃から保護できる格納庫が多くない。