米国債、今年の損失を一掃-トレーダーが利下げに賭ける

AI要約

米国債が年初からの下げを解消し、利下げ観測が強まったことで上昇している。

市場はインフレ鎮静化を受けて、2回以上の利下げの確率を3分の1と見込んでいる。

しかし、一部のストラテジストは長期債利回りの低下に懸念を示し、過度な水準だと指摘している。

(ブルームバーグ): 米国債は年初からの下げを解消した。インフレ鎮静化でトレーダーが米利下げ観測を強めた。

ブルームバーグの米国債指数は年初来で0.3%上昇となった。利下げ観測が後退していた4月には同3.4%下落していた。11日発表されたデータは6月のインフレ低下を示し、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後数カ月のうちに金融緩和を開始するとの見方が強まった。

投資家はFRBが今年2回以上の0.25ポイント利下げを実施する余地があるかどうかを判断するため、物価上昇が幅広く減速していることを示すより多くの証拠を求めている。市場は2回以上の利下げの確率3分の1を織り込んでいる。

ATFXグローバル・マーケッツのチーフアナリスト、ニック・ツイデール氏は「最近の米国のデータが、ようやく債券トレーダーに有利に働くようになってきた。FRB当局者の発言は今後数週間、さらに注視されるだろうが、米国債強気派に転機が訪れているように感じられる」と話した。

金融政策見通しに敏感な米2年債利回りは、6月の消費者物価指数(CPI)発表後に13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し3月以来の低水準となった。12日はほぼ変わらずの4.51%前後。

市場は9月の利下げをほぼ完全に織り込んでいる。指標発表前は70%程度だった。

シカゴ連銀のグールズビー総裁は11日、最新の物価データは「上々だ」と述べ、インフレ率が2%の目標に向かっている証拠が得られたと歓迎した。

上昇余地はわずか

それでも、一部のストラテジストは米国債の見通しについて慎重な姿勢を崩していない。長期債利回りはすでに、今年2回の利下げと整合する水準まで低下しているという。10年債利回りは12日に4.22%、月初から20bp近く低下している。

ラザードのチーフ市場ストラテジスト、ロナルド・テンプル氏は、長期債利回りの低下は「フェアバリューに比べて行き過ぎ」だとの見方を示した。