米CPI、株式市場揺さぶりへ-JPモルガンのトレーディングデスク

AI要約

米株式市場でのボラティリティー上昇の可能性についてJPモルガン・チェースが投資家に警告

6月の消費者物価指数発表により、利下げ観測や株価への影響が注目される

最も可能性が高い結果とその影響について詳細な予測が示されている

(ブルームバーグ): 長い間静かにしていた米株式市場は今週、突然のボラティリティー(変動性)上昇に見舞われる可能性があると、JPモルガン・チェースのトレーディングデスクが投資家に注意を促した。

JPモルガン・チェースのトレーディングデスクで米国マーケットインテリジェンス責任者を務めるアンドルー・タイラー氏によれば、S&P500種株価指数は11日までにいずれかの方向に0.9%動くことが、同日に最終取引を迎えるアット・ザ・マネー(オプションの権利行使価格と原資産の価格が等しい状態)のストラドルオプションに示唆されている。同日朝には6月の消費者物価指数(CPI)が発表される。インフレの落ち着きが示されれば年内利下げ観測を補強し、それが取引に反映される可能性がある。

「これまでに複数の元連邦準備制度理事会(FRB)理事が、利下げは9月が適切だと示唆している」と、タイラー氏のチームは9日の顧客リポートで指摘。「これを踏まえてわれわれは引き続き戦術的には強気だが、確信の度合いはやや低い」と述べた。

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CPIのコア指数は一般的にCPI総合指数よりも中央銀行に重視される。5月の米CPIコア指数は前月比0.16%上昇し、2021年8月以来の低い伸びだった。

6月のCPIコア指数は前月比0.2%の上昇が予想されている。0.3%より大幅な上昇となれば、リスク資産全般に売りが広がる可能性が高く、S&P500種は1.25~2.5%下げるだろうとタイラー氏。ただこれが起きる確率はわずか2.5%だという。

CPIコア指数は前月比で0.15~0.2%上昇するというのが、JPモルガンのトレーディングデスクが最有力視する予測だ。この場合、S&P500種は0.5~1%上昇するとタイラー氏は予想。CPIコアの上昇率が0.20~0.25%の間なら、株式相場は直ちにマイナス方向に反応するかもしれないが、米国債利回りの低下に最終的に支えられ、S&P500種は0.25~0.75%高になると同氏らはみている。