まじ? ブレーキダストやタイヤまで環境規制の対象に! 欧州排ガス規制「EURO7」が日本車に与える影響とは

AI要約

EURO7規制に向けて、欧州でブレーキの粉塵に対する規制が始まること

AVL(エイヴィエル)ジャパンが新しいブレーキ粉塵規則テストシステムを導入

計測方法や基準について詳細に解説

まじ? ブレーキダストやタイヤまで環境規制の対象に! 欧州排ガス規制「EURO7」が日本車に与える影響とは

 ユーザーが所有車を洗車する際、ホイールの汚れを気にする場合があるでしょう。

 最も気になるのは、泥やホコリではなく、黒いススのようなものでホイールの表面にこびりついてしまうことではないでしょうか。

 それが、ブレーキのパッドや、ブレーキローターが摩耗して発生するブレーキの粉塵です。

 このブレーキの粉塵について、欧州での次期環境規制であるEURO7で規制が始まることを受けて、自動車メーカーや自動車部品メーカー各社では対応策の協議が本格化しているところです。

 欧州の自動車に対する環境規制は、これまで主に排気ガスに含まれる成分に対して規定されてきました。

 それが2020年代に入り、グローバルでカーボンニュートラルに代表されるように地球環境に対する厳しい目が産業界に向けられるようになり、そうした流れの中で今後はブレーキの粉塵に対する規制が導入されるのです。

 日本を含めて世界の主要国や地域がそれぞれ、自動車に対する環境規制を行っていますが、欧州が先頭を切ってブレーキの粉塵対する規制を決めた形です。

 現時点でのEURO7施行予定は、新車では乗用車と小型商用バンが2026年11月末とし、2027年11月末までのすべての車が対象となります。

 大型車は若干遅れて、それぞれ2028年5月末と2029年5月末になる見込みです。

 では、ブレーキの粉塵をどうやって計測するのでしょうか。

 今回、オーストリアの自動車関連大手のAVL(エイヴィエル)ジャパンが自社のテクニカルセンターに導入したばかりのブレーキ粉塵規則テストシステムを一部メディアに公開しました。

 第一印象としては、システム全体としての見た目がかなり大きいという点です。

 基本的な構造は、車両全体ではなく、計測するブレーキシステムだけが作動する制御装置に取り付けるもの。

 そこに整流された空気をあてて、ブレーキシステムから発生する粒子状物質(パティキュラー・マター:PM)を計測する仕組みです。

 こうしたブレーキの粉塵に対する計測方法は、世界技術規則(ゼネラル・テクニカル・レギュレーション:GTR)によって公開されており、AVLのシステムもそれに従った上で、AVLが複数の特許を取得しているトータルシステムとして仕上げてあります。

 計測のためのブレーキ作動のサイクルは、国際基準であるWLTP(ワールドワイド・ハーモナイズド・ライトヴィークル・テスト・プロシージャ)を用います。

 WLTPには燃費や排ガス対応のサイクルがありますが、こちらはブレーキの粉塵計測の専用基準となります。

 総時間は1万6000分(4.4時間)で距離にして192kmで303回のブレーキ操作を行うという厳しい内容です。

 この試験方法で計測できるのは、発生する粒子の質量と、粒子の数。

 ただし、現在、EURO7で明らかにしている規制値は、PM10という種類の粒子での質量7mgだけ。

 今後は、PM10に対する粒子の数や、他の種類の粒子についての質量や数について規制値が設定される可能性があります。