【小林製薬・紅麹問題】84歳創業家会長の“謝罪会見”はあるのか 「ブルーレット御殿」と呼ばれた芦屋六麓荘町の大豪邸は“本人不在”

AI要約

小林製薬は紅麹サプリによる健康被害の問題で最大の危機に直面しており、創業家の影響や経営体質、被害者への賠償金、経営陣の入れ替わりなどが懸念されている。

現在被害者への賠償金は100億円を超える可能性があり、オアシス・マネジメントなどの株主圧力も考えられる状況で、経営陣が責任を取る可能性が高まっている。

一雅会長は謝罪が求められており、現時点では会社の存続は確実なものの、重要な決定が迫られる状況にある。

【小林製薬・紅麹問題】84歳創業家会長の“謝罪会見”はあるのか 「ブルーレット御殿」と呼ばれた芦屋六麓荘町の大豪邸は“本人不在”

 小林製薬は今、最大の危機を迎えている。3月に紅麹サプリによる健康被害の問題が発覚、初動の遅れにより被害を拡大させたと批判が集まった。6月末には摂取後に亡くなった76人について因果関係を調査中と判明し、事態は深刻化している。

 創業家・小林家は、創業105年目を迎える小林製薬に君臨し続けてきた。今回の危機の背景に創業家による経営の影響があるとみるのは、経済ジャーナリストの有森隆氏だ。

「48年間にわたり代表取締役として君臨する小林一雅会長(84)は、社内で絶対的な存在として強い決定権を持つとされます。その結果、非常に内向きな企業体質が生まれ、4人の社外取締役に紅麹問題が伝えられたのは最初の症例把握から2か月あまり経った記者会見当日でした。一族の経営をチェックする立場の社外取締役を軽視する姿勢が浮き彫りになりました」

 小林製薬はこれまで無借金経営で26期連続の増益を達成した優等生企業。財務基盤は極めて良好だが、今後は被害者への賠償金が重くのしかかる。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が語る。

「ワクチンや医薬品による健康被害は国が補償する制度があるが、紅麹などのサプリは食品と同じ扱いになるため、公的に救済する仕組みがない。賠償額は症状の度合いによって異なるが、亡くなった方には1人数千万円レベルと考えられる。台湾では消費者団体が集団訴訟を起こしており、同様の動きも考えられる」

 同社は5月に、すでに回収費用などで特別損失38億円を発表しているが、会社はどうなるのか。危機管理コンサルタントの白井邦芳氏が説明する。

「腎臓に後遺障害が残れば、長期的な補償も必要となり、損失額は100億円を優に超えるのではないか。会社が潰れることはないだろうが、モノ言う株主として有名な香港系ファンド、オアシス・マネジメントが注目しているとされ、そうした圧力で経営陣が入れ替わる可能性はある。一雅会長は会見に姿を見せていないが、今後は謝罪する必要が出てくるでしょう」

 小林製薬広報・IR部は関係者の処分について「大変重く受け止めています。処分や責任の在り方は、現在進んでおります事実検証委員会による調査・検証結果の内容等も踏まえて今後、検討してまいります」と答えた。

 一雅会長は今、どうしているのか。自宅は兵庫・芦屋市の高台に位置する超高級住宅街、六麓荘町の大豪邸。問題発覚前は同社の代表的商品にちなんで「ブルーレット御殿」と言われていたが、今や“紅麹御殿”と呼ばれ始めている。インターフォンを押すと女性が出た。

「あのー、留守番の女中なんですけども。ここにはどなたもいらっしゃいません。色々、片付けとかもありまして……(居場所は)知りません」

 自宅にもいない会長が姿を見せる日は──。

※週刊ポスト2024年7月19・26日号