ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること

AI要約

日本郵政の経営が迷走し、郵便事業の赤字が主因で収益が減少。2024年3月期連結決算は2期連続の最終減益に。

郵便料金の引き上げも行われるが、増田寛也社長を含む経営陣は手立てを見出せず、経営は危機的状況。

自民党の議員らは日本郵政に国の経営関与を強める改正案を検討中。地方の郵便局も含めた全国のネットワーク維持が焦点。

ここにきて「郵政民営化」がオジャンに…? 日本郵政・増田寛也社長「ひどい迷走」のウラで「全国の郵便局長」と「自民党族議員」が企んでいること

日本郵政の経営が迷走している。祖業である郵便事業の赤字を主因に、2024年3月期連結決算は2期連続の最終減益に沈んだ。

今年10月には郵便料金の大幅な引き上げに踏み切るが、「2年後には赤字に逆戻りする」(日本郵便幹部)という危機的な状況。郵便事業の立て直しは焦眉の急だが、増田寛也社長(1977年旧建設省、元総務相)をはじめ、日本郵政経営陣は明確な手立てを見出せていない。

それどころか、令和国民会議(令和臨調)の共同代表や財政制度審議会の会長代理など公職をいくつも抱える増田氏は、人口減少問題への対応や財政健全化に関する提言など“副業”に熱心な様子。

「放置すれば、経営が持たなくなる」と危惧した総務省は水面下でポスト増田の人選を探るが、「政治銘柄」の日本郵政のトップを引き受けようなどという奇特な財界人はそうそう現れそうにない。

内閣支持率の低迷で岸田文雄政権のレームダック化が進む中、自民党の郵政族議員の間では郵政民営化法を改正して、日本郵政やグループ3社(日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)に対する国の経営関与を強める「先祖返り」を目指す動きまで出ており、経営の先行きは混迷を極めている。

「このままでは数年で郵便事業はやっていけなくなる。(郵政民営化法の)改正が急がれる」

自民党の郵政族議員らでつくる「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」が4月下旬に開いた総会。会長の山口俊一・衆院議院運営委員長(元総務副大臣)は約170人の参加議員を前にこう気勢を上げた。

議連が検討する郵政民営化法の改正案は、国政選挙における自民党の「集票マシーン」全国郵便局長会(全特)の意向を全面的に反映したものだ。

慢性赤字の日本郵便を、国の3分の1超の出資が残る親会社の日本郵政と一体化して経営基盤を強化するとともに、ゆうちょ銀行(日本郵政が現在約61%出資)と、かんぽ生命(同約49%出資)の株式の完全売却方針を撤回、日本郵政が株式3分の1超を持ち続けるのが柱となっている。

小泉純一郎政権以降の政府の郵政民営化方針を覆すような内容だが、全特にとっては政治力の源泉である地方の小規模な郵便局(旧特定郵便局)も含め全国2万4000の郵便ネットワークを確実に維持する道筋が付く。