ウォール街が注目する債券取引、重要な米インフレ指標を前に勢い付く

AI要約

ウォール街の大手金融機関が2024年の残りの期間で支配的になると予想する債券取引が、前向きな動きを見せている。

トランプ大統領の政策や雇用市場の影響で、米国債利回りが上昇し、イールドカーブがスティープ化している。

FRBの金融緩和や消費者物価指数の動向がスティープナー取引に影響を与える可能性がある。

(ブルームバーグ): ウォール街の大手金融機関が2024年の残りの期間で支配的になると予想する債券取引が、その成否を決定付ける重要な米インフレ指標を前に勢いを増している。

米国債のイールドカーブ正常化、スティープ化を見込むこの取引は、ここ数カ月で最も有望に見える。

6月27日に行われた米大統領選挙討論会でドナルド・トランプ氏が優勢に見えたことがこの取引を後押しした。討論会の余波で、シティグループ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーなどの銀行のストラテジストは、いわゆるトランプトレードを支持し、関税、移民、財政赤字に関する共和党の政策によって長期米国債の利回りが上昇すると見込む取引を勧めた。

さらに、5日には雇用市場軟化の新たな兆候が米連邦準備制度理事会(FRB)の年内利下げ観測を強め、短期債利回りの急落に拍車をかけた。イールドカーブの指標として注目される5年物利回りと30年物利回りの差は、指標発表後に2月以来の大きさとなった。

FRBによる金融緩和はスティープナー取引の主な原動力と考えられており、今週はインフレ率に注目が集まる。ブルームバーグの調査によると、消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は1月以来の低水準が見込まれる。一段のディスインフレの証拠によって、スティープナー取引成功への大きな障害が取り除かれる可能性がある。

コニングの北米担当最高投資責任者(CIO)、シンディ・ビューリュー氏は「インフレ動向と財政政策に基づくスティープニングは続き得る」と語った。

FRBの一連の利下げに賭けて2024年を迎えた投資家は年明け前後にもスティープナー取引を選好していた。しかし、回復力のある経済と粘着性のインフレが金融緩和への賭けを頓挫させた。大統領選討論会の数時間前、6月27日の米国債市場取引終了時には5年物利回りと30年物利回りの差は昨年末と比べて約5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小していた。つまり、この取引は損失を抱えていた。