【池上彰氏へインタビュー】令和の「新聞」、上手な読み方とは?

AI要約

情報収集の方法について、YouTubeやTikTokなどのインターネットメディアだけでなく、新聞からしか得られない情報もあるという点が強調されている。

名城大学教授である池上彰氏が新聞を通じて最新情報を得る方法について語っており、海外での長期出張時には現地の新聞や日本の新聞の電子版を購入して情報収集している様子が明かされている。

池上氏は新聞記事を切り抜いて集めており、その行為を通じて世の中の見え方が変わると語っている。米国中間選挙において、新聞記事を通じて共和党内部の事情やトランプ氏の今後についての示唆を得ているというエピソードも紹介されている。

【池上彰氏へインタビュー】令和の「新聞」、上手な読み方とは?

YouTubeやTikTokでも情報収集ができる時代。しかし、そのようななかでも依然として「新聞」からしか読み取れない情報もあるそうです。一体、どのように最新情報をキャッチするのが良いのでしょうか? 本記事では、広報コンサルタントの三上毅一氏による著書『広報のプロが教えるメディアのトリセツ』(中央経済社)から、池上彰氏へのインタビューで明らかになった、最新情報を獲得するコツについて解説します。

池上彰氏プロフィール

名城大学教授、東京工業大学特命教授など6つの大学で教壇に立つ。1950年、長野県生まれ。1973年にNHKに記者として入局。松江、呉での勤務を経て東京の報道局社会部。1994年から2005年まで「週刊こどもニュース」の“お父さん”。2005年に独立し、現在に至る。

インタビュアー:著者

海外出張時は現地の新聞も購入

そういえば、2022年の米国中間選挙の際、アメリカに長期出張されていましたよね。あのような時は、新聞はどのようにしてチェックされているのですか? 帰国後、まとめて読むのでしょうか。

池上:国外にいる時は、日本の新聞は電子版で見るようにしています。同時に、現地の紙の新聞もせっせと買っていますね。

アメリカにいた時のことをお話ししますと、小さな売店ではなかなか数が集まらないので、ニューヨークのグランド・セントラル駅まで毎日通いました。そこで、ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナル、イギリスのフィナンシャル・タイムズなどを購入していました。タブロイド紙で言うと、ニューヨーク・ポストやニューヨーク・デイリーニューズもチェックしていましたね。

売り場のスタッフの方とすっかり仲良くなり「あなた、こんなに新聞を買っていたら、家が新聞だらけになるでしょう」と、からかわれることもありました。

クリッピングで世の中の見え方が変わる

購入した新聞はその後、どうしていたのですか? 私たちのような広報業界では、クリッピングと言って、気になる記事を切り抜いて集めたり、保管したりするのですが。

池上:私も、せっせと切って貼る、ということをしています。こうして記事を集めていると、世の中の見え方が変わってくると思っていて。

アメリカでも、そう感じられたことはありましたか?

池上:そうですね、米国中間選挙を例とすると、ニューヨーク・ポストは徹底して反民主党の立場をとっています。毎日毎日、民主党の悪口ばかりを書いていましたよね。ところが、中間選挙で共和党が伸びず、民主党が健闘する結果となりました。その理由について、共和党内では「トランプ前大統領のせいでは」とささやかれていたんです。

そして、中間選挙が終わった直後、トランプ前大統領が「2024年の大統領選挙に出る」と宣言しました。すると、記事では「フロリダの男が立候補宣言」と書き、トランプ氏を全面に出さなくなったんです。

すごい表現ですね。

池上:そうなんです。これを見ると、「共和党内部で反トランプがこんなに増えているんだ」「トランプ氏の今後はかなり危ういのでは」ということが見えてきます。このようなものは、現地に行ったり、情報を集めたりしてはじめてわかることです。