ずさんな経営で出資金払い戻せない貯蓄共済、市の貸付金返済も滞るが…「市が支援を」議会が決議

AI要約

長崎県松浦市の松浦貯蓄共済協同組合が、組合員らに出資金を払い戻さず、市からの借入金の返済を滞らせている問題について、市議会が市に支援を求める決議案を可決した。友田市長は組合への支援を検討する方針を示したが、訴訟の取り下げは否定した。

決議案では市が組合に融資して回収困難になったことを批判し、早急な支援を求めている。組合は不正確な台帳を持ち、特別出資金を募っていたことも判明しており、市は業務改善を求めている。

友田市長は組合が方向性を決めることが重要だと述べ、市は専門家の助言を行い、出資者の救済につなげたいとしている。訴訟については司法に委ねる必要があるとしている。

 長崎県松浦市の松浦貯蓄共済協同組合が、組合員らに出資金を払い戻さず、市からの借入金の返済を滞らせている問題で、同市議会は26日、本会議を開き、市に対して、組合への支援を求める決議案を賛成多数で可決した。出資者の救済などを図る狙いがあり、借金返済の請求訴訟の取り下げも市に求めている。友田吉泰市長は読売新聞の取材に対し、組合への助言など側面的支援を検討する方針を示したが、訴訟の取り下げは否定した。(小松一郎)

 決議案は、大橋尚生市議が提出した。同案では、市がずさんな審査で組合に融資して回収困難に陥ったと批判し、市が専決処分で組合を提訴したことは、市議会として容認できないと主張。組合の債権と債務を確定させるために市が速やかに支援し、訴訟を取り下げるよう市に求めている。

 定款によると、組合は市内の小規模事業者である組合員からの出資を原資に、資金が必要な組合員に貸し付ける事業を実施。市は2020年5月、中小企業振興のため、2500万円を組合に貸し付けた。しかし、返済が滞ったため、24年4月、残金約2100万円の一括返済を組合に求めて、長崎地裁平戸支部に提訴した。

 組合を巡っては、市の立ち入り検査などで、決算承認に必要な総代会を開かず、出資金や貸付金の台帳が不正確であるなどのずさんな実態が判明。定款に基づかない「特別出資金」を組合員のほか、非組合員から募っていたことも明らかになった。市は23年12月以降、業務改善命令を3回出した。

 決議案には、組合の貸し付け事業での債権回収などを市が後押しすることで、出資者への払い戻しや市への借金返済を促進したい狙いがある。

 友田市長は取材に対し、「まずは組合が方向性を決めることが重要。その上で、市が専門家を雇用するなどの体制整備を行い、組合に対して助言などの側面的支援をし、出資者の救済につなげたい」とした。訴訟については「貸し付け手続きに問題はない。他の債権の取り扱いとの公平性も考えると、司法に判断を委ねるしかない」と話した。