有能人材流出のNY連銀、ウォール街での影響力低下の懸念も浮上

AI要約

ジョン・ウィリアムズ氏がニューヨーク連銀総裁に着任し、人材流出や影響力低下の懸念が広まっている。

ニューヨーク連銀の職員の幹部からの去りが続き、ウィリアムズ総裁の経歴が焦点となっている。

ウィリアムズ氏にはマーケットでの経験が欠けているとの指摘もあり、他の連銀の総裁に市場での発言力を奪われる状況が続いている。

有能人材流出のNY連銀、ウォール街での影響力低下の懸念も浮上

(ブルームバーグ): ジョン・ウィリアムズ氏は2018年、著名マクロエコノミストとして、そしてサンフランシスコ連銀総裁を7年務めた経験豊かなマネジャーとして、ニューヨーク連銀総裁に就任した。ベテランの市場参加者の多くは今、同氏率いるニューヨーク連銀について、頭脳流出とウォール街での影響力低下に見舞われていると懸念している。

同連銀では22年以降、10年超の経験を持つ多くの職員が幹部ポストから去り、有能人材流出が心配されている。その結果、ウィリアムズ総裁自身の経歴に一段と目が向けられることとなった。元金融当局者やウォール街のプロの間には、歴代の総裁が有していたマーケットでの経験をウィリアムズ氏が欠いていると嘆く声もある。

ニューヨーク連銀ウォッチャーは、22年8月からダラス連銀総裁を務めているロリー・ローガン氏や、次期クリーブランド総裁のベス・ハマック氏の方が金融のバックグラウンドが豊富だとし、ニューヨーク連銀はもはや市場で支配的な発言力を持つ存在ではないとの認識を強めている。

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パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局の中でも、ニューヨーク連銀は08年の金融危機や20年の新型コロナウイルス禍のショックをはじめとする数多くの機会に何十年にもわたり、金融システムが危機を乗り越える上で歴史的に不可欠な役割を果たしてきただけに、こうした状況は憂慮すべきものと言える。

同連銀は現在、量的引き締め(QT)として流動性引き揚げを進めているほか、来年には米財務省が法定の借り入れ権限を使い切る可能性があり、潜在的な混乱の初期的兆候を見つける上で重責を担うことになる。

この記事は元ニューヨーク連銀当局者十数人や大手銀行・投資会社のベテランのストラテジスト、エコノミスト、トレーダーとのインタビューに基づいている。デリケートな問題であることを理由に、これらの人々の大半は匿名を条件に語った。