〈習近平に見切られたショルツ独首相〉閣僚まで同行した訪中で成果が得られなかったのはなぜか

AI要約

ドイツのショルツ首相が中国を訪問し、習近平主席との会談が友好的だったものの成果は乏しかったことが報じられている。

重要な議題であるウクライナ問題やイランのイスラエル攻撃について話し合われたが、中国の立場はあまり変化せず、経済関係が重視された。

北京での雰囲気は厳しくなり、ショルツ首相の訪中に対する中国側の扱いも以前とは異なっていた。

〈習近平に見切られたショルツ独首相〉閣僚まで同行した訪中で成果が得られなかったのはなぜか

 ドイツのショルツ首相の訪中について、2024年4月17日付の独FAZ 紙は「友好的だが難渋」と題する解説記事で、雰囲気は友好的であったが成果は乏しかったと報じている。

 ショルツ首相は重慶と上海を訪問した後、4月 16 日に北京入りした。習近平主席との会談は合計で3時間 20 分に及んだ。ショルツは全体会合の冒頭からロシアのウクライナ侵攻を取り上げた。

 ドイツは国際会議での前進を望んでいて、次回はスイスでの会合が予定されているが、それへの中国の出席は極めて疑問である。習近平はショルツに対してウクライナ問題を真剣に捉えていると示唆したが、実質的には一歩も譲らず、中国の発表では、習近平は全ての当事者が同等に参加し、ロシアとウクライナの双方に受け入れられる国際会議は支持すると発言した。プーチンがスイスでの会議へのロシアの出席の用意を示していないため、中国の出席もありえない。

 両者はイランのイスラエルへの攻撃も取り上げ、習近平は紛争のエスカレーションに警告したとされるが、大きなテーマとはならなかった。習近平は現在、対外関係の安定を望んでおり、これは一つには中国の現在の経済情勢が理由であるが、もう一つは、中国は米国大統領選挙の結果を待っているからである。

 中国側が重視したのは経済関係で、習近平は「両国は長期的、戦略的観点から関係を拡大すべきである」と発言した。この発言は、最も緊急の問題である中国の過剰生産能力を念頭に置いたものであるが、中国側は、不公平な国家補助金との批判は根拠がなく誤った情報であるとし、ショルツに対して何らの譲歩も示さなかった。

 他でも北京での雰囲気は厳しくなっている。現地駐在のドイツ・メディアは以前と異なり迎賓館にも人民大会堂にもアクセスが認められず、ショルツと李強の記者会見では、前年の李強のベルリン訪問と同様に質問が許されなかった。中国側によれば李強は前任者と違って脚光を浴びることを好まないということだが、今や何事も習近平次第ということはよく知られている。

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