頼清徳総統、20日就任 対中政策の言及焦点 台湾

AI要約

台湾総統選で勝利した頼清徳氏が20日に総統に就任する。

頼氏は中国と距離を置く蔡英文総統を支え、対中政策は現状維持路線を継承する意向を示している。

中国の圧力が高まる中で、頼氏の対中政策や外交方針が注目されている。

頼清徳総統、20日就任 対中政策の言及焦点 台湾

 【台北時事】1月の台湾総統選で勝利した民進党の頼清徳氏(64)が20日、総統に就任する。

 頼氏は副総統として、中国と距離を置く蔡英文総統を支えてきた。1996年の直接選挙導入後、同一政党が3期連続で政権を担うのは初めて。中国の「祖国統一」圧力が増す中、頼氏が就任演説で対中政策にどう言及するかが注目されている。

 頼氏は、統一も独立も唱えない蔡氏の「現状維持」路線を継承する考えを重ねて示してきた。就任演説では、中国との対話に意欲を示す一方で、日米などの民主主義国と協力して台湾海峡の平和と安定を維持する決意を改めて表明するとみられる。

 次期政権では、外交・安保分野の要職に蔡政権の中核メンバーを起用することが決まっており、対中政策や外交方針を維持することはほぼ確定している。日米両政府は蔡政権の対中政策を高く評価。台湾世論も緊張が高まることを望んでいない。民進党が立法院(国会)で過半数を失い厳しい政権運営が予想される中、頼氏は「路線変更は得策ではない」と判断しているとみられる。

 ただ、頼氏は信念が強いことで知られている。かつて「台湾独立工作者」と自称したことがあり、中国が対話再開の前提条件とする「一つの中国」原則の受け入れに応じる見込みは薄い。就任当初は蔡氏の方針を踏襲しても、「いずれ対中強硬的な独自色を出す」という臆測がくすぶる。

 中国の習近平政権は、次期総統に頼氏が決まった後、台湾に対する軍事的な威圧を強めてきた。頼氏の言動次第で一段と圧力を強化する可能性がある。