深圳の日本人男児殺害、中国主要メディア沈黙 SNSは「批判」と「反日」が混在

AI要約

中国広東省深圳市で日本人学校の日本人男子児童(10)が刺殺された事件について、中国メディアの沈黙や情報統制、異常な意見や反日分子の存在について報じられている。

事件への反応や警告、日本の歴史認識や対中姿勢に関する意見、抗日教育への言及、悼む動きと追悼集会の情報などがSNS上で広がっている。

事件をめぐる中国人からの謝罪や追悼、日中関係や教育に関する投稿に対する反応、事態の背景についての懸念などが表明されている。

深圳の日本人男児殺害、中国主要メディア沈黙 SNSは「批判」と「反日」が混在

中国広東省深圳市で日本人学校の日本人男子児童(10)が刺殺された事件で、中国の主要メディアは沈黙を貫いている。当局から情報統制が敷かれているもようだ。情報が飛び交う交流サイト(SNS)には「国の恥だ」と批判する声も多いが、事件の遠因が「日本にある」との〝異常〟な意見もあり、度を越えた「反日分子」の存在が浮き彫りとなっている。

■「日本に原因」の声も

中国メディアは20日時点で事件をほとんど報じていない。18日には一報を伝えたメディアもあったが、サイトの記事は現在、削除されている。模倣犯の発生や政権批判への転化を避けたい狙いとみられる。

事件が発生した18日以降、中国の短文投稿サイト、微博(ウェイボ)には多くのコメントが書き込まれた。「深圳人として心から謝罪する」「子供は無実。あらゆる暴力行為を非難する」などと事件を批判する書き込みも少なくない。

満州事変につながった柳条湖事件の9月18日に事件が起きたことに反応するコメントも数多かった。「国恥の日に子供を殺した男は国の恥だ」との見方もある一方、日本の歴史認識や対中姿勢が事件を引き起こしたとの声も散見された。

■悲劇悼む動きも

NHKラジオ国際放送で尖閣諸島を「中国の領土」と発言するなどして解雇され、帰国した中国人男性とされるアカウントも事件に反応。在中日本人や在日中国人の生活を揺るがす元凶は「安倍晋三政権が推進してきた歴史修正主義路線だ」とし、日本が一方的な姿勢を続ければ「両国で非理性的な傷害事件を引き起こすことになる」などと警告した。

事件の背景に反日教育が関係している可能性もゼロではないが、「抗日教育を中傷する者は犯人と同じく卑劣な人間だ」との投稿も。在中国日本大使館のアカウントには中国人から多数の謝罪や追悼が寄せられるが、中国人が日本で犯罪に遭った際に同様の光景を「見たことがない」として、「中国人の命は日本人よりも軽いのか」とする書き込みもあった。

一方、X(旧ツイッター)には、男児が通っていた日本人学校前に献花に訪れた男性が「(中国の)長期にわたる憎悪教育が招いた結果だ」と話す動画が拡散。19日には東京都内で在日中国人有志が追悼集会を開くなど、悲劇を悼む動きも広がっている。(桑村朋)