ハワイで「日焼け止めの使用」が法律で禁止されている「意外過ぎるワケ」

AI要約

ハワイを例に、オーバーツーリズム問題に対処する方法を紹介。

ハナウマ湾の事例を通じて、入場制限や料金値上げなどの取り組みを解説。

沖縄の真栄田岬と比較しながら、環境保全のための施策を考察。

ハワイで「日焼け止めの使用」が法律で禁止されている「意外過ぎるワケ」

外国人観光客が押し寄せていることで表面化している「オーバーツーリズム」問題。前回記事『「宿泊税」がオーバーツーリズムを加速させる……日本人が知らない「不都合な真実」』では、観光にかかる税金や手数料を上乗せすることで、行き過ぎた観光客の増加を止められる可能性について論じた。世界を代表する観光地といえばハワイだが、やはりオーバーツーリズム対策の最先端をいっているという。九州大学准教授の田中俊徳氏著『オーバーツーリズム解決論』より、その方法を紹介しよう。

観光戦略として最先端をいっているのが、ハワイである。ハワイは日本人のみならずアメリカ本土やヨーロッパをはじめ、世界中の人が憧れるリゾート地であるからこそ、オーバーツーリズムの問題に向き合ってきた歴史がある。沖縄が「数」を求めてきたのに対して、ハワイは「質」への転換を積極的に推進してきた。その結果、沖縄と同等の観光客数でありながら、2倍の滞在日数と3倍の平均消費額という「結果」につながっている。

ハワイの中でも特にオーバーツーリズムが懸念されてきたのが、ハナウマ湾(HanaumaBay)である。ワイキキから車で約30分という好アクセスで美しいビーチとシュノーケリングを楽しむことができる場所のため、ハワイを訪問したことのある多くの日本人がこの場所を知っているだろう。私もここを二度訪問し、かつて所長を務めていたアラン・ホン氏に案内してもらいながら、課題などを学んだ。

ハナウマ湾は、火山の火口だった場所が静かな入り江となり、サンゴ礁や熱帯魚、ウミガメの観察に適した自然保護区である。

一方、あまりに観光客が多く、ビーチは人で埋まり、入場するための長蛇の列が常態化し、観光客が使う日焼け止めの影響か、サンゴ礁の劣化が課題となっていた。

こうした中、ハナウマ湾では、2021年7月1日より、入場料をそれまでの12ドル(約1800円)から一気に25ドル(約3750円)に増額し、ハワイ在住者や12歳以下の子供は無料とした。また、2021年4月26日からは、オンラインでの予約システムが導入され、来場までに教育ビデオを視聴することが可能となった。従来は、来場者が必ず通過するビジターセンター(海洋教育センター)で視聴するものだったが、ビデオを見るために来場者の滞留が生じるため、事前視聴が推奨されているのである。

オンライン予約は、前々日の午前7時にオープンとなるが、多くの場合5分以内で売り切れてしまうほどの人気である。当日に直接来場することも可能だが、当日枠は限られており、オンライン予約が優先される。また、ハナウマ湾への入場時間も午前6時45分から午後1時30分までと制限され、それ以降の入場は禁止となっている(2024年2月現在)。また、月曜日と火曜日は自然保護のために休業日とされるなど、環境保全のための施策が積極的に採られている。1日あたりの最大人数も1400人に制限されており、オーバーツーリズムが課題となっている沖縄の真栄田岬が参考にすべきモデルだといえる。