人間の全ゲノム、5Dの「メモリークリスタル」に保存 数十億年残る可能性

AI要約

英国の科学者が人類の全ゲノムを5Dメモリークリスタルに保存し、絶滅から救う可能性を探る。

クリスタルは最大360テラバイトの情報を数十億年保管可能で、極限状態にも耐えられる。

クリスタルを使った永続的なゲノム情報の保管庫構築や、生物の復活も可能性として探られている。

人間の全ゲノム、5Dの「メモリークリスタル」に保存 数十億年残る可能性

ロンドン(CNN) 英国の科学者がこのほど、人類を絶滅から救う設計図として将来活用できる可能性を期待して、人間の全ゲノムを「5Dメモリークリスタル」に保存した。

このクリスタルは英サウサンプトン大学の光エレクトロニクス研究センターが開発したもので、絶滅の危機に直面している動植物の記録を作成する目的に使える可能性もある。

19日に発表された大学の声明によると、最大360テラバイトの情報を数十億年保管することができ、凍結や火災、衝突の衝撃、放射線、最大1000度に達する高温などの極限状態に耐えることも可能だ。

このクリスタルは2014年、「最も耐久性の高いデジタル記録媒体」としてギネス記録に認定された。

研究チームは超高速レーザーを駆使して、人間のゲノムデータを20ナノメートルという微小な空間に刻み付けた。ナノメートルは1メートルの約10億分の1の単位。

研究チームがクリスタルによるデータ保管を5Dと形容しているのは、この情報がナノ構造体の五つの異なる次元、つまり高さ、長さ、幅、方向、位置に変換されるためだ。

サウサンプトン大の研究チームを率いたピーター・カザンスキー教授(光エレクトロニクス学)は、「この5Dメモリークリスタルにより、他の研究者が永続的なゲノム情報の保管庫を構築する可能性が開ける。もし将来の科学で可能になれば、そこから動植物のような複雑な生物を復活させることができるかもしれない」と語る。

研究チームは、それほど先の将来のゲノム情報を回収しようとするのは一体何者なのかという問題を考慮する必要に迫られた。

それは生物種あるいはマシーンのような知性かもしれないし、あまりに遠い将来のことで現時点では参照の枠組みが存在しないかもしれない。ただ、研究チームはクリスタルの発見者の助けとなるよう、視覚的なキーを一緒に保管した。

カザンスキー氏は「クリスタルに刻まれた視覚的なキーは発見者に対し、内部に保存されているデータの内容や、その活用方法を伝えるものだ」と説明している。

今のところ、このクリスタルはオーストリアの塩坑の内部に設けられたタイムカプセル「人類の記憶」アーカイブに保管されている。

カザンスキー氏らのチームは18年、このメモリークリスタルを使ってアイザック・アシモフのSF作品を保管し、テスラのロードスターに乗せて宇宙に打ち上げた。世界人権宣言やマグナカルタを含む人類史の重要文書を保管する目的でも使用されている。