深センの日本人男児殺害事件は「特殊な事案」という中国の言い分は正しくない 有識者が厳しい指摘

AI要約

中国で発生した外国人への襲撃事件について、ナショナリズムの影響や投資環境への影響が懸念されている。

中国政府の排外主義ナショナリズムが国民の行動に影響を与えており、矮小化する動きが見られる一方、投資環境は悪化する可能性がある。

外国人駐在員の安全や投資環境が損なわれることで、中国自身の国益に反する状況となっている。

深センの日本人男児殺害事件は「特殊な事案」という中国の言い分は正しくない 有識者が厳しい指摘

9月18日の朝、深センの日本人学校に通う10歳の児童が中国人男性に襲撃され、命を落とすという痛ましい事件が発生した。

詳しい動機などはまだ発表されていないが、満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日にこうした事件があったことから、国外メディアの注目も集めている。

中国では最近、外国人に対する襲撃事件が立て続けに起こっている。6月には吉林省で米国人4人が刺されて負傷し、そのおよそ2週間後には、蘇州で日本人親子が刃物で襲われた。

中国当局は、今回の事件も含めてそれぞれの事件は「特殊な」ものだと主張し、社会的な背景はないと印象づけようとしている。しかし、中国政府が推し進めた排外主義ナショナリズムに国民が煽られ、制御不能になっていると専門家らは指摘する。

オランダのライデン大学で現代中国学の教授を務めるフローリアン・シュナイダーは米メディア「ブルームバーグ」の取材に対し、「中国当局はナショナリズムを『正しい』世界理解の方法として常態化させてきたが、その理解のもとで国民が何をするかは指導者が決められることではなく、ときには驚くような形で裏目に出てしまうこともある」と述べる。

特に、経済が低迷しているいま、歴史問題と領土問題を抱える日本や、ライバルである米国にヘイトが向かいやすくなっている。

こうした状況は、最終的には中国自身の国益に反するものだ。

独メディア「RND」は、「もはや中国は安全ではないと外国人駐在員が感じるようになれば、世界の歓心を買おうとする中国政府の取り組みに水が差されるのみならず、すでに低迷している投資環境が悪化する」と指摘する。

パンデミック、世界情勢、貿易戦争などの影響で、中国への投資はこの数年で目に見えて縮小している。今回の事件は、それに拍車をかけることになるだろう。

日本を拠点にする中国人ジャーナリストの王志安はXで、中国の市民社会の態度は政府の態度に依存しているため、トップの動き次第で反日憎悪の雰囲気は解消すると述べている。しかし、現時点で中国政府は今回の事件を矮小化するような動きしか見せておらず、自らの危機を認識しているかどうかは不明だ。