ウクライナ、今冬に過去最悪の電力不足も ロシアのインフラ攻撃で IEAが報告書

AI要約

ウクライナの電力供給能力が危機的水準に達し、電力不足が深刻化していることが明らかになった。

露軍の攻撃によりウクライナの電力インフラが損傷し、電力供給能力の低下が進んでいる。

IEAや国連は支援国による防空能力の強化や修理部品の迅速化が必要であり、今年冬に最悪の電力不足が予想されると警告している。

ウクライナ、今冬に過去最悪の電力不足も ロシアのインフラ攻撃で IEAが報告書

国際エネルギー機関(IEA)は19日、ロシアの侵略に伴うミサイル攻撃などでウクライナの電力供給能力が危機的水準に達しており、今年冬に侵略開始後で最悪の電力不足が発生する恐れがあるとする報告書を公表した。IEAは電力不足を緩和するためには支援国によるウクライナの防空能力の強化や、修理部品の供給の迅速化などが必須だと指摘した。

IEAは、発電所や送電施設などを標的とした露軍のミサイルやドローン(無人機)攻撃でウクライナの電力インフラの損傷が進んでおり、電力供給能力は今年半ば時点で侵略前の約3分の1に低下していたと指摘。修理が追い付かず、今年夏は最大需要量12ギガワットに対して2ギガワット以上が不足したと報告した。停電も常態化し、1日に数時間しか電力供給が受けられていない地域もあるとした。

その上で、インフラの修理を進め、欧州からの電力輸入を続けた場合でも、今年冬は予測される最大需要量18・5ギガワットに対し、6ギガワット程度が不足する恐れがあると警告。「ウクライナはロシアの侵略後、2回の冬を乗り越えたが、今年冬は最も厳しい試練となることが予想される」とした。

国連ウクライナ人権監視団(HRMMU)も19日、露軍の電力インフラ攻撃に関する報告書を公表。露軍が今年3月~8月に計9回の大規模攻撃を行い、多数の電力インフラを破壊して市民生活に損害を与えたと指摘した。「ウクライナは今年冬、深刻な電力不足に直面する」とも予測。1日に最大18時間の停電が起きる恐れもあるとした。

民間人を危険にさらす電力インフラ攻撃について、ウクライナや欧米諸国は国際法違反だと非難。ロシアは電力インフラが軍事関連施設に当たると主張し、攻撃を正当化している。