トランプ狙った「暗殺未遂犯」の正体、2年前に筆者がキーウでインタビューしたあの外国人志願兵リクルーターだった

AI要約

9月15日、米国でトランプ前大統領を狙った暗殺未遂事件が起きる。

FBIが取り調べている元外国人志願兵の関与が疑われる。

容疑者の過去や政治的傾向が注目される中、事件の詳細が報道される。

 (国際ジャーナリスト・木村正人)

■ 外国人志願兵を募集していたあのライアン? 

[ロンドン発]米大統領選の投票まで50日となった9月15日の日曜日、米フロリダ州ウェストパームビーチのトランプインターナショナルゴルフクラブのコースで、共和党大統領候補ドナルド・トランプ前大統領を狙った2度目の暗殺未遂事件が起きた。コース外周のフェンスのそばでライフル銃を持った男が見つかった。 車で逃走した男はその後、逮捕された。

 トランプ氏は7月13日にもペンシルベニア州での選挙集会中、狙撃されている。今回は未遂だったが、それに続く2度目の狙撃の危機になる。

 米連邦捜査局(FBI)が暗殺未遂事件で取り調べているハワイ在住のライアン・ルース容疑者(58)の写真を見て腰を抜かした。キーウで外国人志願兵を募集していたあのライアンだ。

 ライアンに対する筆者の独占インタビュー記事は2022年6月〈キーウで外国人志願兵のリクルーターを直撃「日本人3人を前線に送り込んだ」〉と題してJBpressに掲載されている。 トランプ氏はバイデン政権によるウクライナへの財政・軍事支援を批判し「大統領に返り咲いたら、ウクライナ戦争を24時間以内に片付ける」と米国の支援を大幅に削る考えを示している。ライアンはウラジーミル・プーチン露大統領に近いトランプ氏を消そうとしたのか。

■ 2002年に大量殺傷兵器を所持していたとして有罪判決

 米英メディアの報道から今回の暗殺未遂事件を追ってみよう。米紙ニューヨーク・タイムズによると、武装した男はトランプ氏から350メートル以上離れたコース外周フェンスそばの植え込みに潜んでいた。発見したシークレットサービスが発砲したため、男は黒の日産車で逃走した。

 スコープ付き半自動小銃AK-47、フェンスに掛けられた2つのバックパック、セラミックタイルでつくった防護ベスト、GoProカメラが見つかった。友人の不動産投資家とゴルフを楽しんでいたトランプ氏は事件後「私たちを阻止するために手段を選ばない人たちがこの世には存在する」と資金調達メールを送信した。 英大衆紙デーリー・メールによると、ルース容疑者は逮捕された際も落ち着いていて感情的ではなかったという。ルース容疑者は民主党員として登録されている。2002年には大量殺傷兵器を所持していたとして有罪判決を受けている。

 閉鎖されたX(旧ツイッター)のアカウントをもとに同紙は、ルース容疑者は16年大統領選ではトランプ氏に投票、20年には民主党予備選でトゥルシー・ギャバード氏を支持、今回は共和党予備選でニッキー・ヘイリー、ヴィヴェック・ラマスワミ両氏に協力するよう求めたと報じる。