ドイツで《ナチスそっくり》の極右政党、ここへきて支持を集める理由…背景に国民が揺らいだ「2つの事件」が起こっていた

AI要約

ドイツの地方選挙で極右政党が躍進し、AfDが初めて第一党となる結果となった。

選挙結果には若者層の支持が顕著であり、主要政党の振るわない状況が浮き彫りになっている。

一方、左派新党BSWの台頭や戦争や経済問題への懸念が政治情勢に影響を与えている。

ドイツで《ナチスそっくり》の極右政党、ここへきて支持を集める理由…背景に国民が揺らいだ「2つの事件」が起こっていた

9月1日に行われたドイツの地方選挙で、極右政党が躍進し、遂に第一党となった。その背景には何があるのか。そして、ドイツの今後はどうなるのか。

旧東ドイツのチューリンゲン州とザクソン州で、9月1日に州議会選挙が行われた。移民や難民の排斥を主張する極右のAfD(ドイツのための選択肢)が躍進し、チューリンゲン州では、投票率32.8%で第一党となった。極右が主な選挙で第一党になるのは初めてである。

AfDのチューリンゲン州党支部長のビョルン・ヘッケは、大勝した選挙結果を受けて、「人々は変化を望んでいる」と述べた。30代以下の若者の36%がAfDに投票している。

ザクセン州では、AfDは30.6%を得票し、トップの中道右派で野党のCDU(キリスト教民主同盟)に僅差で2位につけた。

今のショルツ政権は、SPD(社会民主党)、緑の党、FDP(自由民主党)の連立政権であるが、全く振るわず、SPDはチューリンゲン州では6.1%しか得票できず、過去最低の記録であった。

そして、もう一つ注目すべきは、テレビなどで活躍するザーラ・ヴァーゲンクネヒトが左派党を離党して立ち上げた左派新党のBSW(ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟)の支持の拡大である。

BSWはウクライナへの武器供与の即時停止とロシアとの停戦交渉を要求しているが、それはAfDの主張と同じである。ウクライナ戦争の長期化で経済に悪影響が及び、生活が苦しくなっている人々がその主張に共鳴している。

BSWは、チューリンゲン州では15.8%、ザクセン州では11.8%で、第3位にのし上がった。

選挙結果をまとめると、チューリンゲン州では、AfDが32.8(+9.4)%、CDUが23.6(+1.9)%、BSWが15.8%、左派党が13.1(-17.9)%、SPDが6.1(-2.1)%、緑の党が3.2(-2.0)%、FDPが1.2(-3.9)%であった。()内は、前回2019年選挙との比較である。

ドイツでは5%条項があり、5%以上得票しないと議席を得ることができない。

ザクセン州では、AfDが30.6(+3.1)%、CDUが31.9(-0.2)%、BSWが11.8%、左派党が4.5(-5.9)%、SPDが7.3(-0.4)%、緑の党が5.1(-3.5)%、FDPが0.9(-3.6)%である。

与党連合の劣勢が目立つ。